「第 6 回ハコムス宝くじライブ」密着レポート
~空見上げれば おんなじ青で~


「新進気鋭 負けず嫌い 新しい風吹かせます!」
ハコムスの定期公演で何度も聞いた阿部かれんさんの自己紹介なのだが、宝くじライブ、そして翌日の定期公演の頃、次のように思ったファンは決して少なくないだろう。
「…だからって台風吹かせなくたっていいじゃん(笑)」と。
そんな台風24号襲来前日の9月29日(土)に行われた、「第6回ハコムス宝くじライブ」に密着させていただいたので、前回に引き続き、つたないレポートですがご覧いただければ。

おそらくこの半年で新たにハコムスの魅力を知った、という方もいると思うので、改めて「ハコムス宝くじとは何ぞや?」ということを説明しておこうと思う。
概ね半年に1度のペースで開催されるこのイベントには、様々な賞が設定されている。好きなメンバーの生声が入った目覚まし時計をもらえる賞、アルバムのレコーディング作業を間近で見学できる賞、メンバーから手紙の返信や、こちらからの質問に答えるビデオメッセージがもらえる賞など内容は様々。1口500円で各賞に対するくじを購入し、メンバーの手によって厳正なる抽選が行われる。手作り感満載ではあるが、メンバーとファンの距離がグッと縮まる、まさに「神企画」と呼ぶにふさわしいイベント。

余談だが、今回の宝くじでは準備期間がなかったためか、過去2回行われた「ジュークボックス賞」が設定されなかった。普段はなかなかカバーされることのないアーティストの曲を自分のためだけに歌ってくれる、これまた夢のような賞だっただけに、ファンの間からも落胆する声が多く聞かれた。次回の宝くじが行われるときは、ぜひとも復活していただきたい賞である。もちろん、全く新しい賞が設定されるのも大歓迎なのだが。

さて、今回のライブ密着取材も各賞の中の「ムスメ賞」に当選して得た権利。同じく取材を行ったくにちゃん氏、ひろおじ氏はどちらも今回が初当選で、僕が前回に続いて2回目。抽選会のときにメンバーから「新人記者にいろいろ教えてあげてね!」なんて言われたりもしたが、果たしてそんな余裕があるかどうか…。

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午前9時、Akibaカルチャーズ劇場の通用口前に3人の記者が集合。程なくして鈴木Pが出迎えてくれ、記者の証である赤い腕章を受け取って館内の控室へ。メンバーはどうしているのかと思ったら、なんと近くの別場所で事前に練習をしているのだとか。おい、まだ朝の9時だぞ。何時に起きてるんだあの子達は。ちゃんと睡眠が取れているのかどうか、ちょっぴり不安にもなってしまう。
さらに「戸羽は朝イチの新幹線で向かってまして、他のメンバーよりもちょっと遅れて会場入りすることになると思います」との連絡も。改めて実感する岩手と東京の距離。この移動をすでに1年半も続けている戸羽さんには本当に頭が下がる。これから取材させてもらうメンバーがそんな頑張り屋さん揃いであることを実感し、あくびを噛み殺しながら改めて気合いを入れる。

控室について一息つく間もなく、戸羽さん以外のメンバーが間もなく劇場入りとのこと。慌ててカメラをスタンバイし、さっき自分たちが入った通用口の下でメンバーが入ってくるのを待つ。ドアの向こうから笑い声が聞こえる。そして…

「おはようございま~す!」

吉田さんを先頭に、次々と階段を降りてくるメンバーの皆さん。チラチラ見てくれはするものの、必要以上にカメラを意識することもなく(笑)、おそらくいつもと同じように楽屋へと入っていく。時間にしてわずか10数秒の出来事ではあったが、記者3人を非日常の空間へと連れて行くには十分すぎる尺だった。

メンバーがリハ着に着替えたところで、取材陣控室に挨拶に来てくれた。ノドの調子があまりよろしくなかった我妻さんに替わり、吉田さんが代表になって「私たち、ハコイリムスメです!よろしくお願いします!」といつものようにご挨拶。「今日は万葉が頑張っていっぱいしゃべりますから!」うん、その意気や良し(笑)。

前回は本番まで時間がなかったため、到着したらすぐリハーサルだったのだが、今回はリハーサル開始まで1時間ほど余裕があった。その間ハコムスメンバーは、それぞれ宝くじの賞品準備に取り掛かる。手紙やDVDメッセージは当日というわけにはいかないが、目覚まし時計へのメッセージやロックオン賞のタスキなどは、主にこの時間を使って準備されていたようだ。
特にタスキは「別に撮影曲でレスくれなくてもいいけど、このタスキだけはどうしても欲しい」という人もいるほど、好きな人にはたまらない賞品となっているだけに、メッセージを書き込むメンバーも1つ1つ丁寧に、真剣に書き込んでいた。中には複数名分のタスキを書く人もおり、阿部さんも「3つもあったらもはやロックオンではない気がするんだけど……」と、至極もっともなことをつぶやきながらの作業であった(そこをどうにかしてしまうのが阿部かれんという人でもあるのだが)。

※楽屋口に「スタンバイ」されていた記入済みのタスキ。朝早くても、ちゃんとメンバーの心がこもってます。

我々はメンバーへの不用意な声掛けは禁じられていたので遠巻きにその様子を眺めていたのだが、タスキの上下がわからなくなって「どっちが上だと思う?」と我妻さんや寺島さんが取材陣の方に聞きに来てくれるなど、メンバーの側から突然距離を縮めてくれたりもするので油断できない(笑)。

そしてこの時間を使って行われるもう一つの準備、それがこの日初めて歌われる、リクエストによる新カバー曲のおさらい。なんせ抽選会から一週間も無い中で、それまでほとんど聴いたことのない曲をイチから覚えなければならないのだから大変な作業だ。もちろん普段の学校生活や翌日の定期公演、阿部さん卒業公演の準備もすべて並行して行いながら、である。
最初は僕達取材陣に気を遣って「リハまで流さないほうがいいかな」なんて言ってたけど、鈴木Pからも促され、ガンガンに音を流しながら各自練習を始めた。イントロで何の曲か把握。そうか、アイドリング!!!にはまだこの曲が残っていたし、阿部さんには見事にハマっているではないか……この曲を選んだ当選者のたけしさんのグッジョブっぷりに感服していると、ちょうど到着した戸羽さんが元気に楽屋入り。残念ながら都合で星さんは欠席のため、これで7人が集結。さっきの挨拶には間に合わなかった戸羽さんも、わざわざ一度僕達のところまで挨拶に来てくれた。こういう細かい対応は嬉しくなる。さっきの挨拶にしても然り、一緒に仕事する人も、こうやって丁寧に対応してくれると気持ちよく仕事できるんだろうなぁと。

さて、楽屋側の壁はカルチャーズ劇場でライブを行ったアイドルのサインで埋め尽くされているのはもはや周知の事実だろうが、それを直接見ることが出来ているファンは、おそらくこれまでにこの密着取材を行っているハコムスファン数名のみだろうと思う。新人記者のお二人も、まるで美術館に飾られた名画を見るかのような目でいろんなサインに目を遣っている。僕は半年前になんとなく見ていたので「あぁ、戻ってきたなぁ~」ぐらいのつもりで見ていたのだが、ハコムスのサインを見に行った際に、ふと前回にはなかったサインに目が止まった。

透明なガラスに書かれているので見づらいかもしれないが、「ももいろクローバーZ」のサインが書かれていた。そう、ハコムスの鈴木Pとは深いつながりがあるという、あのももクロちゃんである。「ももクロのサインがねぇ、増えたんですよぉ……」と我々に改めて教えてくれた鈴木Pの表情がどことなく嬉しそうだったのは気のせいではないハズ(笑)。

※ちなみにハコムス歴代全メンバーのサインがこちら。ちょっと光で見づらいが、我妻さんの昔のサインの上に戸羽さんのサインも書かれている。

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時刻は午前10時。鈴木Pの呼びかけに応え、ステージへと並ぶメンバー。
「これから、ハコイリムスメのリハーサルを始めさせていただきます。よろしくお願いします!」
と、吉田さんの挨拶でリハーサルがスタート。

もちろんリハーサルでは全曲みっちりと歌われたのだが、どの曲でどうしたということについては本編と重なる部分も大きいので省略させていただくことにして、気になった部分をいくつか書かせてもらうことにする。

1曲終わるごとに確認作業が入るのは前回と変わっていない。しかし、前回と大きく違うのは、鈴木Pからのチェックの前に、メンバー同士で細かく声を掛け合って確認作業を進めている、という点だ。お互いに気になった点を指摘し合い、よりよく見えるように修正されていく。主導するのはリーダーの我妻さん……と思いきや、我妻さんだけではなく、阿部さんから提案がされたり、井上さんから全員に注意が飛んだり、と、立場も年齢も先輩後輩もなく、完成度を高めることへの意識が段違いに強くなっていたように思う。1stコンサート前のゲネプロを見せていただいたときにも同じことを思ったが、エンターテイナーとしての意識が定着してきたってことなんだろう。我妻さんや阿部さんには冗談を飛ばす余裕すらあるように見えたが、これもステージをメンバー全員で「楽しむ」ための雰囲気作りなんだろうなと。
鈴木Pの役割も「全体への注意点を突っ込む」というよりは「客席側から見て気になったことの指摘」へと変わっていたように思う。プレビュー用に撮影をしていない以上、自分たちのパフォーマンスがどのように見えているかを自分たちで確認するのは不可能。そこを鈴木Pの目が補っているようだ。物理的な動きを見るのはもちろん、その奥にあるメンバーのメンタルの動きにもしっかり目が行っているようで、リハ1曲目終了時に早速「本番と同じように集中してやりなさい」と釘を刺す辺り、しっかりと手綱を握っているように思えた。

※客席からの目線でメンバーのパフォーマンスを最終確認する鈴木P。

※1曲ごとに細かい修正点が話し合われる。この日は星さんが欠席だったため、いつもと若干違うフォーメーションや歌割りについての確認が多かったようだ。

※気になった点があれば、その都度メンバー同士でも話し合いが行われ、その場で疑問点を解消していく。ステージに立ってしまえば、先輩も後輩もなく、気になった点をちゃんと言い合える関係性が出来ているのは夏合宿の大きな収穫と言えるだろう。

そんな感じで8曲目まで終わり、残すは9曲目の新カバー曲だけとなった。始まる前から明らかに焦りを隠せないメンバー。そしてその焦りはパフォーマンスに如実に現れていた。
曲終わりに顔を見合わせて「ヤバい…」とつぶやき合う。鈴木Pもお手上げと見たか、「どうすんのか自分たちで決めなさい」と言い放つ。この状態でステージリハをやり直しても、劇的な改善が見込めないと判断したメンバーは、ステージ上での動きの確認だけ済ませ、改めて歌詞を入れる作業などに集中するため、ここでリハーサルを終えることを選択した。

ここからメンバーは基本、楽屋に入りっぱなしになる(BGMは歌詞の確認も兼ねて新カバー曲)。衣装に着替えて、本番までの最終確認や歌詞の怪しかった部分を各自で確認しつつ、台本の読み合わせや段取りの確認なども行う。本番まで1時間近くあるとは言え、決して長い時間とは言えない。

さて、リハが終了して数分後、ロックオン賞当選者から順に、お客さんが入場。ロックオン賞当選者の方々は、メンバーがメッセージ書きたてほやほやのタスキを身にまとい、心なしか表情もご満悦、といった感じだ。

※事前にセッティングされた席に座っていく「ロックオン賞」当選者の方々。

※見られることを意識してか、わざわざ衣装を用意してきたお二方。決して浅草演芸ホールから抜け出してきたコンビ芸人ではない。

※通算3回目の当選となった方と、4回全てで当選した方。もはや「ロックオンされたい人」というよりも「タスキコレクター」と呼ぶべきかもしれない。

間もなく本番、という時刻になり、準備を終えたメンバーが楽屋から出てきた。そして恒例の円陣。
「イエスイエス、私たち、ハコイリムスメ!ハキハキと、声出して、一生懸命…」んー、このあたりからもう解読不能だ!「よろしくお願いしまーす!!」と元気に円陣を終えたメンバーは、ステージ袖へと続くドアの中へと消えていった。登場を待ち受けるべく、取材陣も気合を入れて客席前方、最前よりも前のスペースへ。場内が暗転し、メンバーが所定の位置にスタンバイ。第6回ハコムス宝くじライブ、いよいよスタート!

※気合いを入れるために全員で円陣。毎回やっていることとは言え、表情は真剣そのもの。

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M1.微笑みと春のワンピース(ハコイリ♡ムスメ・2015)

2015年春に発表された、ハコイリ♡ムスメの記念すべき最初のオリジナル曲。アルバムが1枚作れるほどハコムスのオリジナル曲は増えているが、その中でも「微笑み」の爽やかさ、清潔さ、初々しさは群を抜いているように思う。そう言えばこの日の衣装も2015年の春衣装だった。この衣装はどうしてもこの曲のイメージが強くなるが、阿部さんが2期生として加入して初めての衣装、ということにもなるのだ。(ちなみに前回の宝くじライブもこの衣装だった。みんなこの衣装好きなんだなぁ……)
翌週に行われた阿部さんの卒業公演では、落ちサビの後半を阿部さんが歌うという、当時の事情を知っている人には涙モノの演出が行われたそうだが、この日は通常通りのフォーメーション。逆に言えば、通常パターンで歌われたのはこのライブが最後ということになるのか。

M2.陽春のパッセージ(田中陽子・1990)

ハコムス的には2017年の春セトリ曲であり、4期生が初めてステージで歌った曲。オリジナルの田中陽子さんにとってもデビュー曲になる。新しい季節が始まるウキウキした気持ちを恋が始まりかけた時の高揚感になぞらえている、いかにも「春!」な曲なんだけど、初秋に聴いてもやはり良いものは良い(笑)。

2曲終わったところで最初のMC。いつもの自己紹介のあと、宝くじライブの趣旨説明。
我妻「様々なワンダフルな賞が当たるっていう…」
井上「ワンダフルフル!!」
我妻「はーい、ワンダフルフルですね!」

そして、セットリストを考えた当選者、はっしーちゃん氏を紹介。
我妻「はっしーちゃん、2曲やってみたけど、どう?」
楽しい!
「良かったで~す!一緒に楽しみましょうね!」
などと紹介されたはっしーちゃん氏による今回のテーマは「阿部かれん」。阿部さんと言えば、と言われるような曲をズラリ揃えたセットリストになっているとのこと。実はこの時点ではっしーちゃん氏は阿部さんの卒業公演を見られないことがほぼ確定していたらしく、「卒業公演として聞きたかった曲を集めた」という話もちらっと聞かせてもらった。この後のセットリストも考えてみると、なるほど納得、というところである。

我々取材陣の紹介もこのタイミングで。
我妻「今日は3人中2人が新米記者ということで…頑張りたまえ!」
と、ありがたいお言葉とほんの少しのプレッシャーをいただく(笑)。

さらにロックオン賞の紹介も。タスキの話が出るとだいたいこのような話になる。
寺島「このタスキはつけたまま帰ってもらいますんで!」
井上「電車の中もこれだからね!」
寺島「宣伝して帰ってくださいね!」

メンバーの方々はこんな話をしながらも「さすがに帰るときには外して帰るんでしょ」なんて思ってるかもしれないが、僕の知り合いでロックオン賞に当たった数人は、打ち上げでしこたま飲んだあと、もれなく帰りの電車の中までちゃんとタスキを着け、胸を張って帰っていたことを、彼らの名誉のために書いておきます(笑)。

吉田さんによる曲フリで再びライブパートへ。
吉田「次に聞いていただく3曲は、とても爽やかな、風を感じられるような曲になっているので、みなさんも爽やかさを感じながら聞いてください!」

M3.レモネード・キッス(ハコイリ♡ムスメ・2015)

背伸びをしたがる女の子が抱く、年上の幼馴染への甘酸っぱく、ほろ苦い恋心を歌ったハコムス初夏の定番曲。「海曲」の「夏に急かされて」に対して、この曲は「森曲」とされており、阿部さんも我妻さんも、この曲のオリジナルメンバーだった。「夏急か」のように爆発的に盛り上がる曲ではないものの、その爽快感はハコムスのレパートリーの中でも指折りだと思う。

M4.夏空のDreamer(CoCo・1992)  ※撮影可能曲

「RespectforCoCo」公演で歌われて以降、通常の公演や対バンではほとんど歌われることがないものの、
なんと2回連続で宝くじライブのセットリストに組み込まれており、ある意味「ファン人気の高いレア曲」。
CoCo的には瀬野あづささん卒業後、4人体制となって最初の曲。新たなスタート、という意味では阿部さんの卒業にも合っているのかもしれない。
ちゃんとした振り付けがついていないため、横一列に並んでのパフォーマンスになるが、撮影可能曲なので同じ場所に居続けるわけにもいかず、メンバーが適宜位置を入れ替わりながらのパフォーマンスとなった。

M5.babyblue(アイドリング!!!・2009)

これまた前回の宝くじライブでもセトリ入りしていた曲。アイドリング!!!の中でも爽やかさが全面に出されている、なかなか渋めの曲だったのだが、これを早い段階でカバー曲のラインナップに組み込む辺りにハコムスのセンスの良さを感じたものだ。この曲がセトリ入りしたのも阿部さんが加入した2015年春のこと。敬愛する遠藤舞さん(元アイドリング!!!3号・元リーダー・元ボックス)が歌った落ちサビをこのタイミングで歌えたのは、阿部さんにとっても望外の喜びだったに違いない。

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半分終わったところでMCコーナー。はっしーちゃん氏が設定したトークテーマは「メンバーの暴露話」。バスツアー車内での「井上被害者の会」トークがハネたこともあってこのテーマとなったようだ。

まず手を上げたのは我妻さん。

我妻「(メンバーを制して)ちょっとみんな黙っててね。先週の野外音楽会のときに……ティッシュで、自分の歯を磨いてるメンバーがいたんですよ。その人はそれまでファミチキを食べてたらしくって、ファミチキの衣が歯茎とか歯間に挟まるから……」
井上「なんか言ってたよね。誰かが……
我妻「黙ってって言ったでしょ。(場内爆笑)……それで、めっちゃねぇ……鬼の形相で歯を磨いてたんですよ。歯をシゴく感じ。(場内から悲鳴)……もうね、なんか、すごかったよね……まぁ、姫月なんだけど(笑)。」
井上「アハハッ(恥ずかしそうに笑)」
我妻「さすがにその顔は楽屋にいた私たちもびっくりしちゃった、っていうか、ちゃんと見てたの私しかいなくて。だから姫月に『歯ブラシを持ってきな。ティッシュで歯を磨くのはやめよう』って言ったの。言ったんだけど、今日楽屋入りしてきて、私が入ったら姫月がまた歯を磨いてたの、ティッシュで!
井上「ねぇ待って、その記憶ないんだよね(笑)。野外音楽会のときはやってたかもしれないけど…今日はやった記憶が無いんだよね…」
我妻「シゴいてたよ、今日も。鬼の形相で」
寺島「野外音楽会のときに後ろ姿から見て、こんなに(鏡の)近くでやってて。何やってんだろうって思ったら……歯をやってたんだね…」
阿部「…やっぱり、歯ブラシは持ってきたほうがいいと思う。」
井上「そうだよねー(←ほぼ棒読み)。なんか食べるもんね、ハコムス来ると。」
我妻「それがちょっと、心の中に溜まっててね。」
井上「やったー!」
我妻「良くない!(怒)

※ハコムスのトークの起点はやはりリーダーの我妻さんから。そんな「トークできるキャラ」の座を虎視眈々と伺っているのか、メキメキ頭角を現しつつある井上さん。

続いて手を上げたのは阿部さん。話題の矛先は戸羽さんへと移る。

阿部「のんちゃんがうちに泊まりに来たじゃないですか。その時、ホントに信じられないものを見てしまって。のんちゃんがお風呂上がってきて『おやすみなさーい!』って寝たんですよ……次の朝起きるじゃないですか……そしたら……寝たままの格好で出かけていこうとするんですよ。」
寺島「寝間着で行くってこと?」
阿部「そう、でも寝間着で行くってありえないじゃん。彼女何したと思う?……昨日の夜から、次の日着ていく服を着て寝てるの!
(ざわつく場内)
戸羽「違っ、そのときは、換えのパジャマが無くって……」
寺島「かれんちゃんに借りれば良かったじゃん!」
井上「そういうのダメなんだよ~!」
阿部「姫月に言われちゃってる!(笑)」
井上「聞いて!聞いて!身体が痛くなっちゃうの。年寄りになってっちゃうんだよ、どんどんどんどん!
阿部「短パンとかだったらまだわかるのよ、まぁ遠征だし、って思うんだけど……彼女、ミニスカートで寝てるの!
井上「それはダメ!」
阿部「しかも、すっごい寝相悪いから……のんちゃんの方見れなくて……(照)
我妻「なんかもう、ガサツが過ぎるんだけど……」
阿部「私、未成年の何かで捕まるんじゃないかって(笑)
我妻「今日はちゃんとパジャマ持ってきた?」
戸羽「持ってきました!

※マイペースを通り越して「ガサツ」疑惑が浮上してしまった戸羽さん。普段着で寝るとマジで疲れが取れないので程々にしましょう(笑)。

さらに、そんな戸羽さんからも寺島さんについて暴露があるという。

戸羽「去年、ロケバスの中で、コンビニで買ったワッフルを食べてたんですよ。」
寺島「(何かを察して)もうやだ~!(逃)
戸羽「私が1口食べてたら、チコが『5口ちょうだ~い!』って言ってきて。」
(場内爆笑)
戸羽「小さい5口だと思ったんですよ。だから『はいどうぞ』って渡したら、返ってきたのが紙だけ。
寺島「聞いてほしいことがあるの。私、4口で食べきった!(得意気)」
戸羽「私1口しか食べてなかったの!」
井上「ホントにチコの1口って大きくてね。」
寺島「前にななが、ベーコンが乗ってるナポリタン食べてたの。それで『1口ちょうだい!』って言って、
ベーコン1口で全部食べちゃったことがある(笑)」
塩野「1口ってそういう意味じゃないよ!って怒ったの。」
井上「1口で全部詰め込め~!みたいなさぁ。」
塩野「そういうパターン、良くないよね。」
阿部「最初から『5口食べますよ』って宣言してる辺りがさぁ(笑)」
寺島「待って、バスツアーの時から、メチャメチャいやしいヤツみたいになってない?
メンバー「…だってそうだもん(笑)」

さらにこの話題は思わぬ方向に飛び火する。

阿部「最近……めっちゃ神岡さんに似てる……(笑)
井上「しかも、ちょっと、悪目立ちをする時の(神岡)実希ちゃん(笑)。
(場内大爆笑)
我妻「レッスン中のチコが何をしても実希ちゃんに見えるんだよね……最近なんかちょっとジャージとか着てきちゃって。
寺島「(あー、と納得する場内に向かって)何がわかるんだよ!(笑)」
我妻「怒んないで~。実希ちゃん怒んないで、怖い。」
井上「実希ちゃん静かにして!」
寺島「実希ちゃんじゃなーいー!(怒)」

※もらって全部食べちゃうキャラから怒りキャラにまで話が飛び火して怖がってしまう寺島さん。ちなみにトーク中にジャージの話題が出てきたが、確かにリハーサルでは最初ジャージを羽織っていた。

「言い出すとこういう暴露話はハコムス尽きないので……」ということで、我妻さん仕切りでもう1つのトークテーマに。これは、残ったメンバーそれぞれに、今後どうなってほしいかを阿部さんに語ってもらう、というもの。順に列挙してみると……

阿部「(井上さんは)歯ブラシを持ってきて。衛生面ちゃんとして~(笑)。こないだもカバンの中にハッピーターンぶちまけて……」
寺島「ダメにしちゃったんだよね(笑)」
井上「は~い(笑)」

阿部「(吉田さんは)日本語を頑張ろう!(笑) 頑張って日本語を話そう。」
吉田「あ、もっと上手にってことね(笑)」

阿部「のんちゃんは……今のままでもいいけど、マイペースすぎるから頑張ろう。少なくとも、パジャマは着よう(笑)。それさえできればキミはいい!」
寺島「なんかみんな、のんちゃんに甘くない?」

阿部「(寺島さんは)怒ってると少し怖い……(笑) 最近背後に違う人が見えてるので、もう少し穏やかな気持ちに。」
井上「お花畑とか行ったら? 少し安らぐじゃん?」
寺島「えっ……私、そんなにヤバイ?(笑)」

阿部「(塩野さんを見て)彼女は……大丈夫(笑)」
塩野「大丈夫!?やったね!イェーイ!」
阿部「うん……大丈夫です(苦笑)」
寺島「いい意味の『大丈夫』じゃないかもしれないね(笑)」

阿部「ぽにょさんは、いつもありがとう!大好き!」
我妻「ホッホッホッ(笑) ありがとうございまーす!」

最後は「清潔感のあるアイドルになりましょうね」と我妻さんがキチッと締めてトークコーナーは終了。メンバー同士の関係性を垣間見ることが出来る面白いテーマだった。

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再びライブパートへ。「乙女心のちょっぴり切ない曲」として塩野さんが紹介してくれた曲がこちら。

M6.約束のポニーテール(三浦理恵子・1993)

今でこそ三浦理恵子さんばりのキャンディボイスをもつ塩野さんの印象がかなり強くなっているこの曲だが、2015年秋・冬セトリでハコムスがカバーし始めた頃は、誰がどう見ても「阿部曲」だったこの曲。確かホントに阿部さんの頭の高い位置にピンクのリボンをつけて歌ったことが1、2回無かったっけかなぁ。こうやってハコムスの中でも曲が受け継がれていくのかな、なんてことも考えてしまう曲となった。

M7.お願い神さま(Qlair・1991) ※撮影可能曲

個人的にはハコムスきっかけでQlairの曲をたくさん聞くようになって、中でも1、2を争うぐらい好きになった曲。王道ド直球ど真ん中なアイドルソングなのに、そこらのアイドルには真似できそうもない間奏の3声コーラスワークが素敵過ぎで。さらにハコムスがカバーすると、メンバーが斜めに並んで順番に背中を押していくあの振りなんかも加わって言うことなし。
ちなみにこの曲の終盤には我妻さんが歌うパートがあるのだが、ロックオン賞つきの撮影可能曲ということで、当選者の目の前にちょこんと座ってひたすらガン見しながら歌う、という、当選者にはたまらなかったであろう光景を見せてもらった(笑)。

※ここの歌詞は「見つめるだけでもいいのに ねぇ 心は欲張りね」。この歌詞だからこれをやったのだとすると、我妻さんの機転と頭の回転に惜しみない拍手を送りたくなる。

どうやら今日はメンバーのテンションがすこぶる高い(笑)。客席も巻き込んで、みんなでこの時間を楽しんでしまおうとしている、なんとも幸せな空間だ。

平日定期の新シリーズ、そして10月の定期公演日程の発表などの告知があり、いよいよライブは終盤へ。

「はい!それでは早速、次の曲に行きましょう! ……なんですけど~、次の曲で最後の曲になっちゃいました~(涙)」
と、普段なら塩野さんがするはずの泣きマネラスト告知を、今回は阿部さんが担当。しかも塩野さん風の甲高い声で。
阿部「(塩野ボイスで)はい、最後の曲は皆さんともっともっとひとつに…あっ、間違えた!
と、曲フリをトチるところまで完コピするなど、完成度はかなり高い。
寺島「すごく細かくっていいんだけど、かれんちゃんの中のなな、声高過ぎ!(笑)」
そんなツッコミも入ったところで披露されたラストの曲は、やっぱりこちら。

M8.なかよし(上田愛美・1999)

もはやハコムスの大事な節目には欠かすことのできない、グループにとっても大切な一曲。元々は上田愛美さんのカバーなのだが、こんな事を言うと上田さんファンの方に怒られるかもしれないけど、この曲に関してはもはや、オリジナルを超えたカバーになっているんじゃないかなと。「ハコムスがカバーしたことで生まれ変わった」と言ったら大げさなのかもしれないが、この曲とハコムスとの出会いはそのぐらいインパクトの強いものだったのかもしれない。
先日のバスツアーでは、20人を超える大人数が客席後方で1列に並び、エア縄跳びを行ったのも記憶に新しいところ。そんなところまで含めて、この曲はこれからも、末永く歌い継がれていって欲しい。

これにてはっしーちゃん氏によるセトリは終了。我妻さんもMCで話していたように「2015年春」感の強い、ちょっぴり懐かしくも楽しいセトリとなっていたように思う。実は最後はもう一度「微笑み」で締める、というパターンも提出していたそうだが、卒業公演との兼ね合いも合ったのだろう、代替案の「なかよし」で締めることになった。とはいえ、素敵なセトリを組んでくれたことに改めて感謝を。

そしてここからは、たけしさんリクエストによる新カバー曲お披露目のコーナー。選んだ曲とその理由について、我妻さんが読み上げてくれた。

「今回リクエストさせていただくのは、関西アイドリング!!!さんの『まけへんで』です。3年半前に、アイドリング!!!のカバーをするハコイリ♡ムスメというグループに、関西人の新メンバーが入ったと聞いた時、ぜひ、この大好きな曲をカバーしてほしいなぁと思っていました。今回、阿部かれんさんが在籍する最後のチャンスにこの賞をいただけて、大変嬉しく思っています。関西に限らず、遠くからハコムスを応援している人はたくさんいると思いますし、遠く離れていても、同じ空の下、気持ちは繋がっているよ、遠くても心をこめて歌ってくれたら、遠方から応援してくれているファンの励みにもなるのではないかな、と思います。そして、在籍中は関西人らしさを出すことが少なかった阿部さんに、独り立ちする前に、力強く決意表明してほしいなぁと思います。」

阿部さんからは「この曲だけでもせめて関西人感を出せるように(笑)」と、そして、かつて何度もこの曲を聞いていたという我妻さんからは「真っ直ぐにこの歌の気持ちを伝えたいなと思う」と。そんな思いを込めてこの曲が歌われた。

M9.まけへんで(関西アイドリング!!!・2010)

アイドリング!!!4枚目のアルバム「SISTERS」に収録されている曲だが、この曲については知らない人も多いと思うので、やや詳しい説明が必要だろう。
当時のアイドリング!!!には関西出身のメンバーが5人。親や親族に付き添われて暮らす人、あるいは事務所の寮で暮らす人など環境は様々だったが、いずれも地元を離れて東京で暮らすようになっていた。そんなメンバーが家族や地元を考えたときに思うことについてスタッフがアンケートを取り、そこに書かれていた言葉をまとめて歌詞が作られている。関西のメンバーが関西のことを、関西にいる家族のことを思ってつぶやいた言葉を紡いで作られた曲だけに胸を打つものがあり、当時のメンバーの中には歌いながら感極まってしまう子もいたくらいだった。
阿部さんも加入当初は、現在の戸羽さんのように週末のたびに大阪から通っており、その後しばらくして上京してからはなかなか大阪にも戻れず、家族みんなが顔を揃える機会もなかなか無かったものと思われる。まさにこの歌詞を生み出したアイドリング!!!のメンバーと同じような境遇にあったと言える。そんな彼女がこの曲を歌う、という流れは、もはや必然だったのかもしれない。歌割りも阿部さんと戸羽さんのパートがやや多くなるようにされていた。
ただ、聞いたことがある方ならおわかりかと思うが、この曲はかなり難しい。少ない音の上にたくさんの歌詞が乗っかってくるので、ちょっとタイミングがずれるとあっという間に置いてかれてしまうし、そもそも歌詞が多すぎて覚えるだけでも一苦労。これを1週間足らずで覚えてパフォーマンスするのはかなり難しかったようで、今回も歌詞が飛んでしまうシーンが何度か見られた。最後の宝くじライブとなった阿部さんにはちょっぴり悔しい終わり方になってしまったかもしれないが、残ったメンバーには是非いつかリベンジにチャレンジしてもらいたい。それだけの価値がこの歌にはあると思う。

元々は家族や地元の友達とのつながりを歌っているであろうこのサビの部分も、今のハコムスが歌えば巣立つメンバーと見送るメンバーとの絆が歌われているように思えてならない。だからこそ最後の阿部さんのパート、

が、力強く、頼もしく、そしてちょっぴり切なく聞こえたのかもしれない。

阿部「横からチコと万葉がすっごく泣きそうな顔して私の方見てくるの。すごかった、圧が(笑)。大丈夫、まだいるよ~!」
やはりこの曲の持つ力が大きかったのか、ちょっとしっとりした感じが場内に漂っていた。ただ、そんな中でも…

我妻「関西メンがいなくなっちゃうね~」
井上「みんな東京だもんね…」
阿部「じゃあ姫月、大阪行こっか。」
井上「うん、大阪行ってくる!ちょっとバラエティとか学んでくる(笑)

などと楽しい空気を生み出してくれるホスピタリティもハコムスならでは、といったところだろうか。

「私たちとファンの皆さんの距離が縮まるような企画をこれからもやっていきたい」と我妻さんが語ってくれたところでライブは無事終了。

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続いては特典会…の前に、まず鈴木Pが壇上に上がり、阿部さん卒業公演の延期を正式に発表。この時点でもこの決断は英断だったと思うし、翌日の定期公演の盛り上がりや夜の台風の惨状、そして卒業公演での超ロングラン特典会などを考えると、ここで延期していなかったらどうなっていたことか、とも思う。

※英断をすばやく下した鈴木P。普段のライブ告知なども、もうちょっとだけ早くなってくれると大変ありがたいのだが……頑張ってください(笑)。

続いて、ハコムス宝くじ当選者へのプレゼント贈呈。この日は「ハコムスといっ賞」の目覚まし時計、「箱文賞」のお手紙がメンバーから手渡された。「ハコくえすちょん賞」のDVDメッセージは編集が間に合わず、後日の受け渡し、ということになった。

※こちらは「ハコムスといっ賞」(目覚まし時計)贈呈の様子。赤い腕章をつけた僕以外の記者2名はこの賞にもご当選。お強い!(笑)

その後、いつものように特典会がスタート。全員との握手会、個別メンバーとのチェキ撮影や15秒撮影など、それぞれが思い思いの時間を過ごし、お客さんたちは帰路についていった。

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特典会撤収後間もなく、取材陣の控室にメンバーが来てくれた。ここからは我々取材陣による独占インタビューのコーナー。

※こんな感じで行われていました。距離が近い!!

ひろおじ氏、くにちゃん氏の順に3問ずつ質問を投げかけ、ざっくばらんに答えていくメンバーたち。
新人記者らしい新鮮な切り口からの質問に、和気あいあいと答えていく様子が、見ているだけでもとても楽しかった。おそらくこれは各人のレポートに詳しく記載されると思うので乞うご期待である。

では、僕からさせてもらった質問を、できるだけノーカットで。

Q1.こないだのバスツアーでは「井上被害者の会」話がやたらと盛り上がっていたようですが、今回は「阿部被害者の会」的に、「阿部さんにこんなことされた!」「卒業前にこれだけは言っておきたい!」みたいな、阿部さんとのエピソードがあれば教えてください。

――では、挙手制で!

寺島「ハイ!……もうちょっと自分に自信を持ったほうがいい。」
阿部「これ私(言われるの)3回目ぐらいなんですよ(笑)」
寺島「ずっとネガティブだから。すごいかわいいのに『かわいいね!』って言っても『かわいくないから……』って言ってくるけど……、ほんとにねぇ、鏡を見て。すごいかわいいから!(一同笑) だからねぇ……ハコムスをやめちゃっても、自分に自信を持って堂々と生きて欲しい(笑)。」
我妻「かわいいから大丈夫だよ。」
阿部「顔の可愛さが保証された!(笑) 頑張るね。」

塩野「思い出でもいいですか? 去年のバスツアーの時の運動会で、かれんちゃんと同じチームになったんですけど。そこまでの、ななと、かれんちゃんとの関係っていうのが、しっかり喋ったこともなかったから……。かれんちゃんって、ななたちが入ってすぐに、大学受験のための勉強でアレ(活動縮小・休止)だったから……運動会とかで仲が深まったのが、いい思い出です。」

吉田「私も思い出なんですけど……入った時のかれんちゃんの第一印象が、すごく怖かった(一同驚)。怒るとかの怖さじゃなくって……」
我妻「私服が怖い、的なやつでしょ?」
吉田「いや、万葉も私服とかだと前のかれんちゃんに近い部分は結構あったので…なんだろう?最初すごく怖かったです……。全然怒ることもなかったし、別に何もヒドいことされてないんですけど、ただ怖くて。」
阿部「謎の圧迫感かなぁ……」
吉田「でも、自撮りする時とかに、めっちゃくっついたりすることが増えて、どんどん……どんどんどんどん好きになっていったのが、最初との差がすごかったなって思うのが、今思うと凄いなって。」
我妻「背が高いからそれだけで圧迫されたのかも……」
吉田「あー、それもあるかも。」

井上「私(あっし)も~……」
他メンバー「『あっしも~』『あっしも!』(笑)」
井上「入ったときに『あ、これが”アイドル”なんだ』って思って。レッスンでもキャピキャピしてて、アイドルみたいで……」
阿部「あ、あの頃の私はすごかった……(恥笑)」
井上「アイドルって、ここまで裏を見せないんだ!って。(一同爆笑) 私の想像してるアイドルは、ライブやったら、もう、『ハァ~~……(疲)』みたいな、そういう感じだと思ってたから……」
我妻「それ姫月じゃん、今の。(即答 → 一同爆笑)」
阿部「(例えば)後輩をいじめたりとか、きつかったりとか?」
井上「そうそうそう。そういう感じだと思ってたから、あ、こんなに女の子っぽい感じなんだ~って思って。それがびっくりしたかな~。」

寺島「のんちゃんはかれんちゃん家にお泊りしたじゃん。」
戸羽「そう~。誘われたときに、すごく申し訳なくって……なんか、気を遣ってくださってるのかなって(笑)。でもホントに嬉しくって!かれんちゃんの卒業が決まった時だったから、まだかれんちゃんとの思い出もあんまり作れてないし……。お泊りしてみて、夜一緒にジブリの映画見たりとか(阿部「夜中にね(笑)」)そう、夜中に(笑)見たりとか、一緒に動画撮ったりとかして、卒業前にかれんちゃんとのいい思い出が出来たんで、良かったなって思いました。(――結構長いことお泊りしてたよね?)そう、一週間ぐらい?」
井上「たこ焼きとかやってたよね。」
戸羽「やってた(笑)。たこ焼きパーティーやりました(笑)。」

…といったところで最初の質問は終了。
合宿を通じて距離が縮まったのか、あるいはハコムス先輩メンバーの懐の広さなのか、後輩メンバーからとてもざっくばらんに答えてもらった。一番後輩の4期生・寺島さんから「鏡を見て!かわいいから自信持って!」と言われる最年長阿部さんと、それを笑って見守る残りのみんな、という構図が、今のハコムスの一体感を象徴しているような気がした。
振り返ってみれば、阿部さんにしてみれば初めて迎える後輩が3期生。実は人見知りな部分もある阿部さんにとって、初めての、年の離れた、しかも3人もの新メンバーを迎えるとあっては、彼女の中でいろいろと試行錯誤を繰り返していたのかもしれない。その結果、謎の圧迫感を出してしまったり、「ザ・アイドル!」という感じのキャピキャピ感をリハ中に出してしまったりと、今となっては笑って話せるようなネタになってしまったのかも。
4期生にとっては、加入早々に阿部さんが活動縮小となってしまったため、昨年はほぼすれ違いの1年だったはず。昨年のバスツアー運動会での塩野さんといえば、綱引きで負けて悔し泣きするほどガチで挑んでいたのが思い出されるが、その裏には阿部さんと一緒のチームで仲良くなれたことへの喜びもあったのかもしれない。

次はちょっぴり真面目な質問を。

Q2.この半年間を見てきて、やはり夏の合宿が大きなターニングポイントになったと思われます。そこで、合宿をやってみて、自分の中で特に一番プラスになったと思った部分、それを踏まえて、今後さらに伸ばしていきたい、と思った部分についてそれぞれ教えてください。

我妻
思い切りやるって大事だなと思いました。ハコムス8人で活動してて、といっても、みんな赤の他人なわけじゃないですか。だから、何かするにしても、恥ずかしいときもあったりするんですけど、でもそんな「恥ずかしいなぁ」っていう気持ちのまんまステージに立ったら、お互いがこう、萎縮し合っちゃうじゃないですか。そういうところでハコムスのパフォーマンスのサイズ感って、まとまってる、というか、キュッと、縮こまってるところもあったんですけど、みんなで思い切り、ヘロヘロになるまで筋トレやったりとか、「疲れた」ってあまり言わないように、でも思い切りやってみたり……っていうのは、それぞれみんなが1つ、みんなの前でさらけ出したというか、一皮むけたというか。その一個大きくなった感じが、この夏終わってからライブとかで、はっちゃけるって意味でも、気持ちを伝えるっていう意味でも、私もみんなと一緒に立ちながら、感じる機会が増えていったので……これからも個々の「思い切りやってみる」「ポテンシャルを上げてやってみる」という気持ちを忘れないで、これからもみんなでパフォーマンスしていきたいなって思いました!
(一同大拍手)

リーダーとして全体を統括するポジションを、これまで1年半務めてきた我妻さん。新メンバーの4期生を迎え、神岡さん、鉄戸さん、そして阿部さんを送り出してきて、グループ編成やメンバー同士の距離感が都度変わっていくという難しい環境の中で、リーダーとしてのあり方を模索していたものと思われるが、今回の合宿はそういった意味でも大きな転機になったようだ。オリジナルメンバーとの間では、みんなが自然とさらけ出しあっていた、それぞれの芯の部分や隠れた弱さなどが、メンバー編成が変わっていくにつれて、見えづらくなっていたのかもしれない。それが、合宿の厳しいレッスンや、限界を超えた筋トレなどで、メンバー全員が、図らずも自分をさらけ出して思い切りやりきったことが、メンバー同士のつながりをさらに深い絆へと変えていったのではないかと。
だからこそ、最近の我妻さんは、とにかく今のハコムスを「楽しむ」ことを大事にしているように思う。ハコムスが今後も末永く続くグループになるには、見に来たお客さんや関わっているスタッフはもちろん、パフォーマンスをしているメンバーが何より楽しめる場所でなければならない。我妻さんがそこまで考えているかどうかはわからないが、結果的にそれに近い空間が作られつつあるような気がするのは、彼女のハコムスを好きな気持ちがそれだけ強いということの顕れなのかもしれない。そうか、これが「ビッグラブ」というやつか(笑)。

井上
私は……歌?……なんか、今まで普通にマイク持って、こうやって、歌ってたんですよ。でもなんかちょっと、変わった気がする!自分でも。
(我妻「マイク持たなくなった?」(一同爆笑))
地声で行くとかじゃなくて(笑)マイクは持ってるんだけど、何かが変わった気がするなぁって。
あと、ハコムスの関係として、今まで「先輩の高校生メンバー」と「他」、みたいな感じになってたのが、仲良くなったというか。仲悪かったわけじゃないんですけど……キュって、縮まった気がします。(――みんなで言い合えるようになったとか?)うん。高校生のメンバーから、私たちに頼み事とかも任されるようになったから、あ、なんか(距離が)縮まったんだなぁって思います。

合宿を経て「井上さんの歌が変わった!」と思った人はおそらく少なくないはずだ。かく言う僕もその1人である。何がどう変わったかと言われると答えが出せないが、本人でも答えが出せないでいるのだから、それも仕方のない話で(笑)。ただ、想像の範囲を超えないが、おそらく「気持ち」の部分なのだと思う。「自分が一番好きな歌」と言って憚らなかった「乙女はびっくり箱」の歌い出しを、井上さんは合宿で100回以上歌って、徹底的にトレーニングしていたという話を、合宿見学をした人から聞かせてもらった。その合宿のDVDでは、それまでのグループ内の雰囲気について、涙を流しながらもはっきりと主張をしていた。今回のレポートを見ていただいても、最近の公演での様子を見てもお分かりいただけると思うが、MCコーナーや合間のトークなどにも、やや前のめり気味では、と思えるほど積極的に参加しようとしている。やる気スイッチが入ったのか、まずは形から入っているのか、プロとしての自覚が芽生えたのか、その答えは本人のみぞ知るところではあるが、間違いなく今のハコムスを楽しんでくれているように思う。それが歌声にも乗っかるようになってきた、ということではないだろうか。公演中に垣間見せてくれるあの笑顔は、決してビジネスでは出来ないハズ。これからも目一杯ハコムスを楽しんでほしい。その分「井上被害者の会」も存在感を増すことになりそうだが(笑)。

戸羽
KEN先生のダンスレッスンで「お客さんがいるとして練習してみて」って言われて。私それまでは、練習だからって思って、歌と踊りだけで考えてたんですけど、KEN先生のダンスレッスンを受けてから、お客さんから見た自分のパフォーマンスがどのように映ってるのか、自分がどういうふうに見えてるのか、とか、ちゃんと気持ちが伝わってるのか、とかが、合宿までは全然わからなかったので。そこが合宿で身についたこととして、一番印象に残りました。さらに、筋トレとかでみんなで声を掛け合いながら、一つになって、グループの一体感がすごく出たなって思いました。
私が個人として頑張りたいことは歌で、結構音程外しちゃったりとかするので、杉浦(良美)先生の「歌もひとつずつ丁寧にやっていけば、ちゃんと音も外さないし、雑にもならない」って、しっかりと杉浦先生に言われたことを生かして、合宿が無駄にならないように、自分でもちゃんと努力していきたいなって思ってます。

岩手からイベントのたびに東京に通っている戸羽さん。彼女の場合、通常のレッスンを通常のように受けにくいことが、やはり少なからずハンデになってしまっていたようだ。週末の上京時以外は、基本的にはメンバーやスタッフから送られた動画を元に、個人で練習を積んでいるという彼女にとって、まずは残りのメンバーと同じ状態にまで合わせることが最優先になってしまい、外からの目線に意識が向かなかったのもそれを考えれば致し方ないことだろうと思う。ただ、そんな彼女の環境をそこまで把握していないKEN先生からの素朴な一言が大きな転機となったようだ。そもそも、大半が自宅での個人練習になっているにも関わらず、他のメンバーと遜色ないパフォーマンスが出来ている時点で、彼女の努力と飲みこみの速さは賞賛に値するモノで、そこに客席からの目線、すなわち「見られること」を意識出来るようになれば、果たしてこれからどのようなパフォーマンスを我々に見せてくれるのか、期待するしかない。
歌声についても、かつて鈴木Pが「家での練習動画では音も外さず、すごくいい声で歌う」と評価していたということは、元々のポテンシャルは高いハズ。ならばKEN先生から「チャンス」と言われた自宅でのコソ練で歌への努力も積み重ねていけば、我らが誇る「最後の砦」の強度は、ますます鉄壁なものになること間違いなしかと。

吉田
(KEN先生の)ダンスレッスンのときに「エトワール(を夢見て)」を踊ったんです。そのときに、バレエのところ(注:間奏での吉田さんと阿部さんによるダンス対決風シーン)で、私はピケ(ターン)をシングル(1回転)で回ったんですけど、「なんでダブル(2回転)で回らなかったの?」って言われて。今までは、もうバレエやってないし、ちょっとぐらいサボっても……シングルでやっても平気でしょ、みたいな気持ちが無意識にあって。シングルでもダブルでもそこまで変わらないよ、って気持ちがあって。
別にシングルをキレイに回れればいいかな、って思ってたんですけど、(KEN先生から)それを言われて、もっと向上心を持たないといけないなってすごく思って。バレエやってるときはバレエをやってるわけだから、もっともっと回りたいって思って、トリプルとかも練習し始めるんですけど、一回やめちゃうとそこはストップして、ハコムスの方をもっと頑張ろう、ハコムスでもっと必要な歌とかの部分を頑張ろう頑張ろう、って言ってばかりで、いろんな所に手を出せなかったから……。せっかく今までやってきたことが無駄になっちゃうし、もっといろんなことに幅広く向上心を持って、一つ一つやるっていうよりも、一気にいろんなことに手を付けられるような人になりたいなって思いました。

いまやハコムスのパフォーマンスの核を担うようになったと言っても過言ではない吉田さん。そんな彼女が忘れかけていたのが向上心だったとは、正直意外だった。確かに前回させていただいたインタビューでは「ダンスよりも歌を伸ばしていきたい」と答えてくれていた。バレエ経験者としてのアドバンテージが、逆に油断につながっていたということなのかもしれない。そこをターン一つで見抜いてしまうKEN先生の凄さもさることながら、その一言で自分を省みることの出来る吉田さんの謙虚さも忘れてはならない。謙虚さ、というよりは、「パフォーマンス」というものに真摯に向き合っていることの顕れなのかもしれないが。多少サボってしまっていたかもしれないとは言え、一度学んだことはそう簡単には消えないもの。ましてや小さい頃から学んでいたことならばなおさらだ。「いろんなことに向上心を持ちたい」とのことなので、歌やダンスだけではなく、これから様々な分野が伸びていくに違いない。受験に伴う活動縮小期間中なので彼女のパフォーマンスをなかなか見ることが出来ないのは残念ではあるが、今の彼女なら受験に必要な学力や集中力も向上させてしまうかもしれないし、むしろそこに期待したい。受験勉強、頑張って!

寺島
パフォーマンスの面でもたくさん学んだんですけど、一番学んだ……というか、感じたのは、仲間の大切さとか、私たちがどれだけ支えていただいてここに立てているのか、っていうことがすごくわかって……。私は3日目の筋トレのときに、体調管理がちゃんと自分で上手く出来なくて、最後のダンスレッスンに参加できなくて、一人で病院で4時間点滴して。病院から帰ってきたときに、絶対眠かったはずなのに、メンバーがわざわざ起きてきて、「おかえり!」って言ってくれたのがすごく嬉しくて。他にも、筋トレのときとか、絶対1人じゃ成し遂げられなかった、やり遂げられなかったことも、メンバーが掛け声とか……一緒にやってるって思ったら、すごく自分なりに頑張れた気がしました。
もっと伸ばしていきたいなって思うのは私も歌唱力で。今年の夏とかは結構歌割りを多く頂いたんですけど、100点満点のパフォーマンスが毎回出来たかって言われると全然出来てなくて。(合宿の)ボイトレのときに「私は今の自分のパフォーマンスは30点以下だと思ってる」って杉浦先生に言ったら、「30点の中で、どれだけ高いところを目指せるかが大事だよ」って言われたので。そこを30点から50点にして、いつかは100点に行けるように頑張りたいなって思います。

残念ながら合宿最終日後半にダウンしてしまった寺島さん。病院から帰還した彼女をメンバーみんなが出迎えるのはDVDのラストにして屈指の名シーンだったので、ご覧になった方も多いことだろう。ただ、どちらかというと、合宿のときのように気を遣われることよりも、普段は気を遣っている、気配りができていることが多いように思うのが寺島さんだ。ライブ中は「ちょっとしたことですぐ怒る」と、卒業生の神岡さんのような扱いを受けていたが、それが出来るのはすなわち、それだけ周りの細かい部分まで気にして見ている、ということに他ならない。最近特典会の列が徐々に伸びつつあるような気がするのも、ファンの側にもその辺りが浸透しているということだろう。井上さんと同様にトークである程度の役割を任されていることもあり、そちらの方でも期待したいところ。
そんな彼女が自分に課した課題は歌唱力。仮に実力が低かったとしても、その中で最大限のパフォーマンスをすることが大事であることを杉浦先生は説いている。奇遇にも、彼女の歌割りの中には神岡さんのパートを引き継いでいるものもかなり多い。キャラだけでなく歌の面(歌唱力、というよりはむしろ歌の持つ世界観の表現力)でも引き継ぐことが出来るかどうかを見ていきたいところだが、彼女も受験に伴う活動縮小期間中。来春、JKワカチコはどんな姿を見せてくれるのか、大いに期待してみたい。受験頑張って!

塩野
私がこの合宿で学んだのは「協力」ってことなんですけど……筋トレのときとかに、みんなで「頑張ろう!」って言っても、例えば1人疲れちゃって「あっ!」ってなった(失敗した)時でも、みんな怒らないで、頑張ろうって言ってくれたりとか……。あとは、みんなでゴールしなきゃってところで、やっぱり協力がないと、結局は「どうでもいいや」って思ってる人が一人でもいると、みんなゴールできないし、やろうと思ってることも出来ないから。
自分の踊りに関してなんですけど、変なんですけどそれまでは「大きく踊ることに間違いはない」って思ってたから……大きく踊ったら「なんでみんなそんなに言うんだろう?」って思ってたんですよ、勝手に。まだその時はよくわかんなかったから……。だけど、(合宿を)終えてから「そういうところでも、協力っていうのはやっぱりあるな……」って思って。私一人が勝手に大きな踊りをしていると、自由に踊るところだったら別に大きく踊ってもいいと思うんですけど、揃えなきゃっていうところでも1人でただ単に大きく踊ってたりすると、見栄えもあんまり良くないんで、そういうところも学べたし。
あと、伸ばしていきたいなって思うのは……これから冬に入って踊りがしっとりしてくるから、きれいに踊るってことを意識して。もうちょっと身体を柔らかく、バレエの振りとかがあったら、バレエをやっていないなりにもうちょっときれいに踊れるようになりたいなって思います。

「小さかったら大きく動け」という、小柄なアイドルに伝わる格言がある。この言葉を生み出した元モーニング娘。の矢口真里さんは、この言葉を具現化したかのようなグループ「ミニモニ。」を生み出し、そのメンバーとして当時一世を風靡した加護亜依さんを、2018年に推しているのが塩野さんである。「大きく動いて何が悪い」と思ってしまう奔放さはどちらかというと辻希美さんに近いものがあるが、「協力」という視点から「グループ全体の統一感の重要性」へと広がった、その発想の柔軟さはさすがというべきだろう。
そして彼女の「協力」という視点は、「現有戦力の結集」というだけでなく「補完すべき能力の穴埋め」という観点にまで至っていることがインタビューの答えから見て取れる。「バレエの振りもバレエをやっていないなりにキレイに踊りたい」という答えは、阿部さんの卒業と吉田さんの活動縮小によるバレエ経験者の減少、という事態を念頭に置いていたものと考えて、きっと間違いはないだろう。まるで「受験で2人が頑張っているから、その分私が頑張るの!」とでも言わんばかりに。グループのために協力できることは何か、その中で自分にできることは何か。それを考えるようになった塩野さんのハコムスというグループに対する愛情は、これまでの彼女のダンスのように、相当デカいに違いない。

ラストは阿部さん。卒業を間近に控えていましたが、卒業後の活動、生き方、考え方、という面で学んだことなどあれば、ということで、敢えて他のメンバーと同様に聞いてみました。

阿部
KEN先生の言葉の中でとても印象に残っているものがあって……。私たちは子供だけど、ステージに立ってショービジネスをさせてもらっているという中で、意識の低さを合宿を通してとてもすごく感じて。ファンの方たちは、今まですごく私たちのことを褒めてくださってたんですけど、褒めてくれてるからって言って、それが100点というわけではないのに、それを私たちは、まぁ子供だし、いまいち大人の世界に入り込んでいなかった……大人の世界を甘く見てたんだと思うんですけど。全ての言葉を、お客さんに言われた言葉を100受け止めて、そこから努力をしなくていいかと言われると、そうではないんですけど……努力を怠っているんじゃないかっていう疑問が、すごく合宿を通して、KEN先生からもらった言葉を通してすごく思ってて。どんなに褒められてもまだまだ先はあると思うし、皆さんからお金を頂いている以上、お金の価値よりも、もっと高い、素晴らしいものを皆さんにお届けしなきゃいけないっていう、意識を常に持たなくちゃいけない、ということと。
私は元々個人競技のフィギュアスケートをやってたんです。フィギュアの世界にいた頃は小学校ぐらいだったんですけど……、フィギュアって、コーチがそんなにいるわけではない世界なので、コーチが教えてくれてないところでは、先輩や他の人を見て自分で学ぶ、「見て学ぶ」ことのほうが多かったんです。だから私は「見て学ぶ」っていうことが結構得意な人なんですけど、普通の子たちはそういう発想ってのはきっと無いので。今まで私は”後輩にちゃんと教える”っていうことをあまりしたことが無かったんですよ。「1から10まで言わなくても見ればわかるでしょ」っていう考えだったんですけど。「それは、全く違うとは言えないけど、でもやっぱり後輩たちの面倒を見るのは先輩の務めだよ」っていうのはKEN先生から教えていただいて。将来のハコムスのために私が貢献できるところは、後輩にいかに注意深く教えていけるかだなって……意識的なところで今回結構すごい大きなものを得たんじゃないかなって思います。

阿部さんに同じ質問をすべきかどうかは現場で一瞬迷ったが、聞いておいてよかったと素直に思う。ショービジネスに携わるものとして重要なプロ意識と、グループを続けていく上で必要な先輩から後輩への「継承」という点について、自らの経験を交えながら語ってくれた。その中身は、これまで自分がやるべきだったけれど出来なかったことに対する悔しさの顕れであると同時に、これからも残るメンバーに残すメッセージでもあり、さらにこれから卒業、再受験を経て次のステップへと進もうとする自分に向けての決意でもあったのだろうと思う。
確かに多くのファンはよくメンバーを褒める。それはおそらく、これからも変わらないだろう。それを額面通り受け取るだけでなく、それ以上にして返せるようになりたいという思い。今となっては知る由もないが、「頂いたものよりももっと高い、素晴らしいものを届けなければ」という思いは、おそらく阿部さんは常日頃から持っていたのではないだろうか。特に特典会など、ファンとメンバーが交流する場においては、多くの人がその対応の見事さに感嘆したはずだ。彼女に一度聞いたことがあるが「せっかく来てくれる人には楽しく接したいし、気分良くなって帰ってほしいから」と答えてくれたのを覚えている。阿部かれん、恐るべし。
さらに、持ち前のネガティブさが邪魔をしてポテンシャルを発揮できていなかったパフォーマンスにおいても、合宿を経てついに覚醒したところである。いよいよまさにこれから本領発揮、という時の卒業発表はハコムスにとっては正直「もったいない」と思ったが、卒業を決めて腹をくくった結果であるとも言えよう。この辺のタイミングというものは本当に難しい。
このインタビューから1週間後、彼女は昼公演から始まり、日付が変わる直前まで続いた超ロングラン特典会を終えてハコムスを卒業した。合宿から約2ヶ月半。その間に彼女は、どれだけのことを後輩に伝えることが出来たのだろうか。それは残ったメンバーの今後の活躍で判断するものとして、今はただ、阿部さんの再受験、そしてまだ見ぬ次なるステップへの挑戦がうまくいくことを心からお祈りしたい。

最後の3問目に行こうとしたところで鈴木Pから「すみません、お時間が来てしまったのでここで…」と、無情にもタイムアップの宣告が。時間いっぱいまでたっぷり喋ってくれたメンバーの皆さんや、ギリギリまで時間を割いてくださった運営スタッフの皆さんには、ただひたすら感謝するしかない。

最後は楽屋前で記念撮影。新人記者のお二人が緊張気味に撮影してるのを見ていた鈴木Pが「井上が緊張してるのを見たことがないんです」とポツリと。「1度だけ、TIFでLOVEマシーンを辻(希美)さんたちと歌うときにすごく緊張してましたけど(笑)」なんて裏話を聞かせてもらいながら撮影を終え、ステージ裏の通路を通り(楽屋から受付ロビーへと続く通路。ここをファンが通ったのは史上初のハズ)、全員に見送られながら劇場を後にした。

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【取材後記】
常々こういうレポートモノは即時性が命だから、当日から1週間、遅くとも10日ぐらいで仕上げてしまうべき、という持論を持っていたのですが、新規案件のお仕事が始まるタイミングとモロ被りになってしまったことなどあり、本番から3週間以上経っての提出になってしまいました…すみません!
しかも「次回はもう少しコンパクトに……」なんて考えていたのに、書き終わってみたら前回よりも4000字ほどボリュームアップしているという始末……できるだけテンポ良く読めるように努力したつもりですが、読みづらさなど感じる方いらっしゃいましたらお詫びいたします。
本来「ライブレポート」ってやつは執筆者の主観を挟むべきものではないのかもしれませんが、この取材レポートは「くじを買って当たったヲタクが書いた記事」であり、普通の記事のように書かれることは想定していないはずだと思ったので、敢えて主観入れまくりで書いております。その辺りもご容赦を。
今回で2回目の取材ということもあり、もう次はないかな……と思ってみたり、一度ぐらいはメンバー全員揃った状態で取材しておきたいなぁ……という、贅沢な考えも頭をよぎったりしております。できれば今度は、メンバーの卒業とか休止とか、そういうの抜きにしたフラットな状態で、ヲタク的にも運営的にも準備期間をしっかり確保した上で宝くじが開催されるといいなぁ、なんて願いを抱きつつ、今回のレポートを締めさせていただきます。最後までご覧頂いてありがとうございました。そして改めてハコムスメンバー、スタッフの皆様、素敵な企画に2度も参加させていただいてありがとうございました!

2度あることは3度ある……のかなぁ?

文・写真 : コボ