「第5回ハコ♡ムス宝くじライブ」密着レポート


~桜前線 明日へ駆け上がる~

文・写真:コボ

2018年3月17日。 この日、気象庁が東京地方で桜の開花を宣言した。 予測よりも3日ほど早い開花は、ひょっとしたら神様がこの日に合わせてくれたのかも知れない。 「美しい桜」の名を持つアイドルの門出を、「桜」を描いたあの曲で祝うかのように。

今回で5回目となった「ハコ♡ムス宝くじ」。
1口500円のくじを購入するだけでハコムスのメンバーとファンが様々な形で交流することが出来る、夢のような企画である。
購入者限定のライブを観覧できる「ハコくじ賞」、ライブ中の撮影可能曲でバシバシと視線を投げかけてくれる(=爆レスをくれる)「ロックオン賞」、指定したメッセージを好きなメンバーが吹き込んだ目覚まし時計がもらえる「はこむすといっ賞」、好きなメンバーから手紙の返事がもらえる「箱文賞」など、もらえる賞は様々。ファンは各々、自分の希望する賞のくじを購入し、その番号が抽選されることをひたすら祈るのである。


今回の密着取材も「ムスメ賞」の賞品。同じく抽選に当たったP氏、H氏と共に取材に臨むことになった。
P氏は前回、前々回も「ムスメ賞」に当選しており、今回が3度目の大ベテラン記者。H氏は僕と同じく今回が初当選の新人記者で、抽選会当日には自分の番号に気づかなかったというが、意気込みは本物。
僕もこの賞は前々から「ぜひとも当てたい!」と願っていた賞であり、念願かなっての初取材となった。ちなみに、P氏もH氏も普段は「Pちゃん」「Hちゃん」と呼ばれており、「コボちゃん」と呼ばれることの多い僕も合わせて「3ちゃん取材班や!」とこっそり思ったのは余談すぎるのでどうでもいい話。


この日は午前中から鉄戸さんの卒業記念イベント「蒲鉾と泪と男と女」(←冷静に見るとものすごいタイトル…!)が代官山某所で行われており、メンバーはもちろん、多くのファンが参加していた。富山から職人の方をお呼びしての細工蒲鉾作り(社長のコメントが秀逸すぎる!)、「カレーおじさん」ことボイトレのリー先生が太鼓判を押す、大久保の超人気店「spicy curry 魯珈」のカレーを待ち時間無しで特別に食べさせてもらったり(めちゃくちゃ美味しかったので、イベント参加できなかった方は是非行ってみてください!)、バスツアーのバスの中のように、メンバーがノリノリでカラオケに興じたり(これは定番化して欲しい!)と、かなりのハイクオリティなイベントとなった。

※蒲鉾作り優勝作品、そのチームのキャプテン、および判定でナイス忖度を決めてくれた社長



しかし、盛り上がりすぎてしまったせいか、予定を約30分オーバーしての終了となり、取材班もメンバーも慌ただしい移動となった。

17時ごろ。取材班がAkibaカルチャーズ劇場に到着。
通用口から出てきた劇場スタッフに「PRESS」の赤い腕章を渡され、控室に案内される。

※これさえあればほぼどこでも行ける夢の腕章(悪用厳禁)。


約10分後、控室に鈴木Pがやってきてメンバーの到着を伝えてくれた。いよいよ密着スタート。
例によってカメラを手に関係者入口の方へ…って、階段の上にもうメンバーが見切れてる!
まぁそりゃそうだ、そんな決まったタイミングで入ってくるわけない(笑)。見なかったことにして一度室内に戻り、ドアを開けたところに改めてスタンバイすることに。
「じゃあ、呼んできますね(=キュー出しますね)」と鈴木Pが階段を上って数秒後、続々とメンバーが降りてきた。取材班に笑顔で「おはようございます!」と声をかけながら楽屋へと入っていくメンバー。代官山から移動してきたばっかりで疲れてるハズなのに、ありがたいですな…

さて、勘の鋭い皆さんならお気づきのことでしょう。「なぜ楽屋入りの写真がないのだ!?」と。

これは胸を張って言えることだが、僕のカメラ知識は素人以下である。せっかくの取材だからということで、某レンタル屋でデジタル一眼レフカメラを借りたは良いものの、実際に使ったことはほとんど無く、突発的な事態にはまるっきり対応できない。楽屋入り口でシャッターを押してみたが、全く切れたような感触がなく、全員入り終わったところでモニターを見たら「被写体が暗すぎます」の文字が寂しく点灯していた。なるほどね、こういう環境だとシャッター切れなくなるのね……なんて言うてる場合か!

※写真はイメージです

というわけで、抽選に当ててもらった身としては決してやってはいけない大失態を犯してしまったこと、深くお詫びいたします。…まぁ、素人が無理やり撮ったブレブレの入り写真を見せられるよりは、何もない方がマシってこと…にはならないですよね、すみません。どんな感じだったかは、後日アップされるであろうお二人のレポートをお待ち下さい!

さて、気落ちする間もなく、早速リハーサル開始。サラッと「間もなく」なんて書きましたが、メンバーの入りからスタンバイまでの合間がほんとにあっと言う間で。時間が押し押しになっている状況はメンバーも理解していて、少しでもリハ時間を確保するために急いで準備した模様。
服装を見てみると、我妻さん、寺島さんはリハ着に着替え、残りの6人は蒲鉾イベのまま。ただし靴は全員動きやすいスニーカー等に履き替えていた。

※ちなみにお着替え後の我妻さん・寺島さんはこんな感じ。


リハを1曲ずつ追っていくとセトリを出してしまうことになるので、ここからはかいつまんで事実のみを。
1曲めが終わったところでPAさん(劇場内の音響を調整するスタッフ)に「返し上げてください」と希望するメンバーが何人か。自分の歌声をしっかりと把握しながらライブに臨みたいということ。歌を適当にやっていたり、口パクやっていたりするアイドルのリハでは絶対に聞かれないフレーズ。わかっていたことだけど、ちゃんと生歌を届けようとしてくれている姿勢に一安心。

戸羽さんが卒業式のため欠席したこともあり、歌割りやフォーメーションも微妙に変わっていたようだ。歌割りについては鈴木Pから伝達されていた中に戸羽さんの名前が残っていたらしく、「こっちで直しておきました」と寺島さんから鈴木Pに報告されていた。メンバーの中でその辺りを自己修復できるようになっている辺りはさすがプロの集団。

ハコムスではおなじみの、傘を使った演出も。これも傘の持ち方はもちろん、「どっち側に何回回す」ぐらいの細かいところまでチェックが入る。細かいフリや立ち位置については鈴木Pがチェックを入れることが多いが、曲中に都度気づいたメンバーが指摘し合う姿も。

ハコムスのリハーサルは基本、メンバーが1コーラスorフルコーラス実演し、止まったところでメンバー間、及び鈴木Pからのチェックが入り再確認、という流れ。あとは劇場スタッフが照明や音響などを確認する程度で、メンバーに絡むのは基本鈴木Pだけということになる。つまり、ステージパフォーマンスの大半は、メンバーの感性に委ねられていると言っても過言ではないだろう。逆に言うと、それが可能になるぐらいメンバーはそれぞれの楽曲について自分なりに消化しているということになる。これについてはインタビューでも興味深い話が聞けたので後述することにしよう。

※曲が終わるたびに集まって修正箇所を確認し合う。

疲れが見えるシーンもありつつも順調にリハーサルは進み、ラストの1曲に。ここで何が歌われるかは実は事前に知っていたのだが、いざリハーサルを見ると、色んな感情が押し寄せてきて涙腺が決壊寸前まで行ってしまった。「あーだめだめ、ヤバイヤバイ…」とステージに背を向けて目頭を抑えていた様子がメンバーの何人かからも見られていたらしく、ライブ後の特典会で「あの曲ではリハのときから…」と指摘されてしまったのはちと恥ずかしい。裏を返せば、そんなところまで気づくほど色んな所に目を配っているということか。ハコムス、恐るべし。
ただ、この曲については新カバー曲ということもあり、この時点で歌詞が入っていないメンバーも多かった。それについては鈴木Pから厳しい喝が飛ぶ。

「この曲を歌って欲しいって、宝くじを買ってわざわざ選んで決めてくれた人がいる。そこはちゃんと考えないといけない。こんな状態のままだったらやらない方が良い。ちゃんとやりなさい。」

最後の最後に厳しいダメ出しが入ったところでリハーサル終了。それから本番開始直前まで、彼女たちの楽屋からはこのラスト1曲がエンドレスリピートで流れ、歌詞を何度も確認しながら口ずさむ声が聞こえてきたことは書いておくべきだろう。「新曲だから」とか「決まってから時間もなかったから」などと言い訳することもなく、1曲1曲に真摯に、丁寧に向き合う姿が垣間見えただけでも取材した価値があったというものだ。

※鈴木Pからはステージを俯瞰で見た上でのダメ出しが簡潔に行われている。

リハが終わってまもなく、鈴木Pが「ご挨拶をさせていただきますので…」と我々を呼んでくれた。まもなくメンバーが改めて勢揃いして丁寧にご挨拶。

我妻「改めてご挨拶させていただきます。私達」
一同「ハコイリムスメです!よろしくおねがいします!」

何よりも挨拶が大切な芸能界、こういう挨拶をするのにも慣れているんだろう。いつもステージや特典会で見る元気いっぱいな感じとはちょっと違う、ちょっぴりフォーマルな感じの「ハコイリムスメです!」を見せていただいた。
おそらく取材班は3人とも内心では「いや、さっきまで一緒に蒲鉾作ってカレー食っとったやんけ(笑)」と突っ込みたくなっていたと思うのだが、そこはある種の様式美ということでこちらも「はい、よろしくおねがいします」と深々とお辞儀。

それから開演までのおよそ1時間、メンバーは休憩…出来るわけもなく、今回の宝くじ用に用意された賞品にサインやメッセージを入れていく作業。「ロックオン賞」で当選者に渡されるタスキや、「ジュークボックス賞」で選ばれた曲入りのCDなどに、思い思いのメッセージを入れていくメンバー。
「ロックオン賞」は前回から設定された賞。つまり活動休止中だった鉄戸さんにとっては初めての経験になるわけで、何をどう書けば良いものか、しきりに戸惑っていたのが印象的。
「どうかな?シンプルすぎる?」
「えー、みんな何書いてんの?」
「これで私が(タスキに)気づかなかったら申し訳無さすぎる…」
などと言いながらも、どうにかこうにか完成した模様。
実際の出来がどのようなものだったかは、
当選者のツイートなどを参照して欲しい。
※こちらは我妻さんから送られたタスキ。
楽屋で「3度めだっけ?」と確認していたと思ったら名前の上には「祝・三冠」の文字が。
一方で、運営スタッフの動きも慌ただしい。
いつものライブとは座席の配置が若干異なる(ロックオン賞当選者が前列に座る)ことなどから入場順が変則的になったり、当選者のリストを把握していたスタッフU氏がなかなか代官山から戻ってこれなかったり、衣装の靴が行方不明になっていたり、ギリギリまで音源を調整していたりと、バックヤードも静かに修羅場を迎えていたようだ。

程なくして開場。タスキを装備したロックオン賞当選者に続き、一般の「ハコくじ賞」当選者が思い思いの席に座っていく。

※ロックオン賞当選者の方々。この位置でもらえるメンバーからのレスは強烈!



楽屋では我妻さんを中心に、鈴木Pも交えてライブ台本の読み合わせ。トークテーマや話す内容、告知事項や話す順番など、駆け足ではあるが丁寧に確認していく。楽屋の外にいた我々取材班からはその様子を見ることは出来なかったが、真剣な声に混じって時折笑い声が漏れていたこともあり、和気あいあいとしたムードで行われているのだろうと想像される。

ライブ開始直前のアナウンスが流れる頃、メンバーはステージ入り口の前で恒例の円陣。野外音楽祭などでは客から見える位置で行われているときもあるのでその様子を見たことがある人も多いだろうが、ここでメンバーが何を言っているかを解読するのは至難の業。しかも大抵の場合、超絶早口で行われるので、言う方もなかなか大変である。

※「イエス、イエス、私たち、ハコイリムスメ!」


「やっぱ無理だ、この円陣…早いんだよ~…」
などとぼやく阿部さんの声を聞きながら、取材班もステージ前のスペースに移動してスタンバイ。スモークが炊かれ、客電が落ち、暗転したところでメンバーが入場。いよいよライブスタート。ちなみに、円陣の「よろしくお願いしまーす!」から1曲目のイントロが流れるまで手元の時計で測ったところ、ちょうど100秒!

*****

M1.陽春のパッセージ(田中陽子)
記憶が正しければ、去年4期生3人が新加入した定期公演4月号の最初の曲だったはず。あれからもうすぐ丸1年。間奏で学校生活の風景を描く、メンバーのちょっとしたお芝居が何気に僕はお気に入りなのだが。
【MC】
恒例の自己紹介から、「宝くじライブ」の趣旨説明、そして今回のセットリストを決められる「ハコイリ賞」と、その当選者であるあにしんさんのご紹介。ジュークボックス賞について、などなど。

我妻「今回のセットリストのテーマは青春…なんだよね?
青春ということで、ハコイリムスメのセットリストの中で季節感とかも…陽春のパッセージなんかは季節で言うはじまりでもあるし、恋の始まりでもあるという、ナイスソングを選んでいただきました」
寺島「この新学期の時期にすごくぴったりな曲だなぁ~って思いました」
井上「あと、ジュークボックス賞って言って、皆様が選んでいただいた曲を私達が歌って、CDにしてお渡しするっていう賞があるんですけど、私はBerryz工房さんの『秘密のウ・タ・ヒ・メ』を歌わせていただいたんですけど、かれんちゃんと美桜ちゃんは初めてだったんですよね?」
我妻「阿部の歌は、サビに追っかけが入ってるんですよね?」
阿部「サビにも入ってるしセリフも入ってるし、後ろのコーラスみたいなのもたくさん入ってたので、別録りがたくさんあったんですけど、楽しかったよ」
鉄戸「私は斉藤由貴さんの『MAY』って言う曲を歌ったんですけど、当たった人がけっこう特殊な人で(客席爆笑)、その人に伝わるようなちょっとしたおまけ付きの…。なので、おうちに帰って聞いてみてください」

※今夜も仲良しな吉田井上コンビ。ひそひそ話に花が咲くお年頃。

こちらの取材によると、阿部さんが歌ったのはアイドリング!!!の「キミがスキ」とのこと。アイドリング!!!初期の名曲であり、ボックスの先輩である外岡さん(6号)がメインで歌っている曲でもあるので、興味のある方はぜひ原曲を聞いていただいて、阿部さんがこれをどう歌ったのか想像してみて欲しい。
また、別の取材によると、鉄戸さんのジュークボックス賞当選者は、あの「サンキューエンディングさん」とのこと。どんなオマケがついていたのかは定かではないが…まぁ名前からしてわかるよなぁ(笑)。

最初のMCも終わったところで、吉田さんの曲紹介で3曲連続の「片思い曲」ゾーンに。

M2.ジェリービーンズのロマンス(渡辺満里奈)
初恋の、片思いの甘酸っぱさを、ジェリービーンズになぞらえて歌う、最近のアイドルからはなかなか聞かれない甘~い仕上がりの一曲。こういう曲をどストレートに歌ってくれるのもハコムスならでは。
M3.夏色キッス☆(アイドリング!!!)※撮影可能曲
ハコムス的には新人公演から歌い継がれているが、実はオリジナルのアイドリング!!!ではライブで披露されることがあまり無かったカップリング曲。ライブで歌われた回数で言うと、ほぼ間違いなくハコムスの方が上回っているはず。指差しの振りなんかもあるので「ロックオン賞」にはピッタリかと。

※この辺りがロックオンの決定的瞬間…かも知れない。

M4.SUMMER LOVER 大作戦(Qlair)
「SPRING LOVER 大作戦」はユニット曲で、こっちは全員曲。頭のギター一音だけでどっちか聞き分けることが出来たなら、あなたはイントロクイズの達人。最後のギターを弾くような振りで腕を何回回してポーズを決めるのか、リハできっちり確認していたのが印象的。

【MC】
トークテーマもあにしんさんのリクエスト。テーマは「ハコイリムスメの『私の落とし方発表会』」。
テレビ東京「ゴッドタン」で行われていたコーナーで、我妻さんが阿佐ヶ谷姉妹の娘役として出演していたことでハコムスファンにはおなじみ…なのかな。
女性タレントが「こんなシチュエーションでこんな事言われたりされたりしたら恋に落ちちゃう!」という内容を、本人が演じるドラマ仕立てで見せていく、というコーナーなのだが、今回はトークで「落とし方」を語ってもらうことに。
我妻「ハコムスって、あんまりこう、理想の恋愛トークってしないじゃないですか。」
鉄戸「病んじゃうから、みんな。」
ごもっとも(笑)。 真っ先に名乗りを上げたのは星さん。
我妻「おおっ!……ポエムですか!?」
星「いや、違う…(照)」
星「泣いてる女の子がいて、男の子が来て、『どうしたの?』って声かけるんだけど、女の子は泣きっぱなしで、その子を慰めるように、横にいてはくれるけど、話は聞かない、っていう…。で、落ち着いた途端に『何があったの?』って聞いてくると、キュン、みたいな。」
寺島「私もそれです!落ち込んでるときに、黙ってそばに居てくれるのがいい!」
我妻「私、美桜に言われたことがあるの。『男の人が水を飲んでる姿』が好きって。」
鉄戸「…ノドでしょ。いいよね。…ノドいいよね。」
吉田「友達とかに、消しゴム忘れたときに貸したりすること、あると思うんですけど、そのときに、消しゴムとケースとの間に『ありがとう』だけでもメッセージとか入ってたら、すごい、嬉しくなっちゃう。」
鉄戸「ダメだよそんなのでキュンときちゃ!普通だよ!?(笑)」
我妻「ものの貸し借り系でいうと、私が例えば消しゴム忘れて来ちゃったけど、別に言ってなかったとするじゃん。『あー、今日消しゴム忘れてきちゃったんだ~』って言ってないのに、シュッと貸してくれるとかね。」
メンバー「あ~~!(共感)」
井上「学校の帰り道とかで、二人でこうやって歩いてるの。そしたら、手を握ってくれる…シュッて。それがいい。」
阿部「私は楽しませてくれる人がいいかも。黙っている空間っていうのが苦手なんですけど、私は心が基本的にネガティブに向かっていくことが多いんですけど、それを楽しませてくれる人とかがすごい好きかな。でないと私、病んじゃう。」
寺島「なな、なんかないの?」
塩野「ななは、アレです、あの…お仕事とかで学校休んだときにLINEをしてくれたり、次の日に学校行ったときに『大丈夫?』って聞いてくれる人。」
我妻「あと、走るのが早い人でしょ?(会場爆笑)」
寺島「ななが走るの早いからね~」
阿部「みんな今日から走り込み始めるよ、多分。ななに好かれたい人は今日から走り込み始めようね(笑)」
(ざわつく場内)
阿部「ボーダーラインとかあるの?50m走、何秒で走ってほしいとか」
塩野「リレーとかで、その子のチームが負けてて、勝ち目ないってときに、ガッ!って抜く子!もう勝てないってわかってるんだけど、一生懸命走ってくれるような。」
鉄戸「私…何だろ?これをやられたら好きになるっていうのがないのよ。そんなことで簡単に好きになってらんないから。キュンと来るので言うと、料理が上手い人とか。」
一同「あ~。」
鉄戸「ご飯作ってくれたりとかするとすっごい嬉しいかも。朝起きて、朝ごはんが料理されてたら嬉しい。…まぁ、パパなんだけど、うちの(笑) 起きたときに『朝ごはんできてるよ』っていう一言にキュンとしますね」
普段こういった恋愛トークをめったにしないハコムスにとっては、なかなか面白いトークテーマだったようで、あにしんさんへの感謝を伝えるメンバーが続出。ていうか、そろそろ「『あにしん』って名前を言いたいだけなんじゃないか説」も出てきそうだぞ…


なーちゃんの曲紹介によってライブに戻る。次はまたまた撮影可能曲!
M5.雨のジェラシー(CoCo) ※撮影可能曲
ポップな曲調とは裏腹に、なかなか激しい失恋の曲。傘を使った曲といえばアンブレラ・エンジェルが定番だけど、こちらはなかなか久々で、リハもフルコーラスきっちりやっていた。確認していた傘の扱いもどうやらうまく決まっていた様子。

M6.はじまり(チェキッ娘)
ずばり「卒業」がテーマのチェキッ娘屈指の良曲。鉄戸さんはもちろんだが、まさにこの日卒業式を迎えていた戸羽さんがいればますますタイムリーだったのだが。落ちサビで卒業間近のメンバーがソロパートを歌うのを聞くといつ何時でも涙腺が緩む・・・

M7.baby blue(アイドリング!!!)
新生活のスタート、あるいは新たな門出にピッタリの曲。アイドリング!!!では3期生加入と同時に発表された、グループを代表する春曲。記憶が確かならば「励まし合えるのが嬉しいから頑張るよ」というフレーズは鉄戸さんも一押しの青春フレーズだったはず。

【MC】
近々のイベント告知があって、いよいよあにしんさんの「青春」セットリストラストの曲へ。

M8.夏空のDreamer(CoCo)
一昨年夏に行われた「Respect for CoCo」公演で披露されて以来?超久々なこの曲。確か当時は急遽入れ込んだためか歌詞もちゃんと入っておらず、ちょっぴり悔しいステージとなっていた気がする。その時はラストの曲として披露され、振りもついていなかったが、今回も振りはなく、メンバーは横一列に並んでパフォーマンス。ただし今回は歌詞もバッチリ。


以上であにしんさんのセットリストは終了。リハのときから取材班の間でも「このセットリストはかなり良い!」「ガチですごい!」的な高評価が乱れ飛んでいたが、客席、そしてメンバーの反応を見てもその感覚は間違っていなかったようだ。
初期のカバーから最新のカバー、そしてレア曲まできっちり入れ込んでストーリーを完成させたあにしんさんの見事なセンスに惜しみない拍手を。素晴らしかったです。
【MC】
あにしんさんのセットリストが絶賛された後、いよいよ「特賞」の新カバー曲初披露を迎えることに。今回当選したいばおじさんからのメッセージがまず読み上げられる。

「今回の宝くじは、鉄戸さんの卒業のためにあるイベントだと思います。この曲はハコムスの定番になる曲ではないかも知れませんが、鉄戸さんに今までの感謝を込めて送りたいと思います。美桜ちゃん、サンキュー!」

勘のいい人は、きっとこの時点で何を歌うかピンときたことだろう。そして我妻さんの口から発せられた曲名は…

M9.さくらサンキュー(アイドリング!!!)
アイドリング!!!初の卒業ソング。誰かの卒業を想定して作られたわけではないが、結果的にこの曲が出た後の最初の卒業生、遠藤舞(3号)の卒業時のイメージがファンの間では強い。奇しくも遠藤さんもボックス所属(現在は引退)で、ある意味ハコムスにも縁のある曲ではあったが、今回が初めてのカバーとなった。


話はリハのときに遡る。
これまでの宝くじライブでは、特賞で選ばれた曲のパフォーマンスは基本、横一列に並んだ状態で行われ、特に振りが付くこともなかった。しかし今回、リハを見ると、サビの部分でメンバーが振りを確認している。しかもよく見るとアイドリング!!!オリジナルの振り付けではないか!
いてもたってもいられず、リハ終わりに鈴木Pに直撃してみたところ…

「これまでも振りを入れなかったわけじゃなく、選ばれた曲に特に振りがなかったので、新しく作ってまでは入れられなかった。今回はオリジナルの振りもあったし、比較的簡単な振りなので、大丈夫だろうと判断して、せっかくの機会なので振りを入れることにしました。ただ、それよりも歌詞がやばくて…」

と内情を明かしてくれた。
単純に言えば「振り付けが存在したからそのままやった」というだけなのだが、曲が決まってわずか数日の間でほぼ完璧に振りを仕上げてきたメンバーの努力には感謝しかない。

もう一つ、記憶が残っている人には思い起こしてほしいが、今回の音源にはクリック音(歌い出しのタイミングを合わせるために入れる「カン、カン」という音)が無かったのである。リハのときにも無く、歌い出しが決まらないため、開場までの短時間を使って急遽音効さんに入れてもらったが、今度はうまくテンポが合わないという事態が発生。
歌い出し担当の鉄戸さん、我妻さんと鈴木P、音効さんを交えて試行錯誤した結果、まるで指揮者のように我妻さんが大きく手を振って、その動きに合わせて曲を出す、という力技に落ち着いた。一瞬たりとも気を抜けない歌い出しになってしまうが、それでもなんとかこの曲を客席に届けたいという演者、スタッフ双方の思いが伝わるアクシデントであった。本番ではもちろん大成功だったのは言うまでもないだろう。
♪桜前線 胸を駆け上がる 君に会えたキセキを抱きしめる
 はにかむ顔も 叫んだ声も ホント大好きだったんだ
 君にサンキュー
「東京で今年始めて桜が咲いたまさにその日に、美桜の門出に「さくらサンキュー」で華を添える。」
こんなよく出来た話、なかなか書けるもんじゃない。
桜の神様か、はたまたアイドルの神様かわからないが、様々なキセキを重ねてくれた神様に感謝しながら、涙を拭きながらシャッターを切っていた。


【MC】
開口一番、「ハコムスで歌えないんじゃないかって思ってた…」と語る我妻さん。 確かにハコムスらしくはない楽曲だから、自然にセットリストに入ってくることはなかったかも知れない。だからこそ「特賞」の価値があるというもの。
鉄戸「これ私全部(全パート)歌ってたんですけど、学校の歌詞じゃん?だけど、制服とか、衣装とか、ハコムスとリンクするところもあって。歌詞を覚えている時も、ジーンと来るなぁって思う時もありました。素敵な歌なのでまた歌ってもらったら…嬉しいです。ね、いばちゃん。」
我妻「阿部もずっと歌いたいって言ってたんだよね?」
阿部「そう、歌いたかった~。でも卒業生が出ないからさ~…誰かが卒業しないと(この曲は)歌えないじゃん。だから、美桜ありがとう、サンキュー!(笑)」

※念願かなって歌えた阿部さん。心なしか満足気。

という話も飛び出したところでライブは大盛り上がりのうちに終了。

ステージでは引き続き、賞品の受け渡しが行われた。

スケジュールの都合で「ハコくえすちょん賞」(メンバーからのビデオメッセージ)については後日受け渡しとなってしまったが、ハコムスといっ賞、ジュークボックス賞、箱文賞の各賞がお目当てのメンバーから当選者に受け渡された。ライブから既に数日経っているが、当選者の中には未だに余韻に浸っている人も多いのではないだろうか。

その後、いつものように握手会、チェキ会、撮影会などなど盛りだくさんの特典会も終了して、お客さんは楽しい思い出を胸に秋葉原を後にした。

そして最後に、我々取材班には1人15分ずつ、インタビュータイムが与えられた。
前回までは取材班の控室で行なっていたらしいのだが、今回は既に撤収後ということもあって、特別に劇場の椅子に座ってもらって、いろいろと聞かせてもらうことになった。


P氏、H氏共に大変興味深いインタビュー取材となった模様。後ろで聞いていて「なるほど!」と思うような答えもあったり、思わず笑ってしまうようなエピソードもあったりしたので、これについては2人のレポートをお待ちいただきたい。

ではここからは、僕から質問させてもらった事項と、メンバーの皆さんから頂いた答えを、できるだけノーカットで。
Q1.
鉄戸さんのご卒業まであと4日を残すのみとなってしまいましたが、
これまで一緒に活動してきて発見した、「恐らくファンはまだ知らない、鉄戸さんのこんな一面があった」あるいは、「今だから言える鉄戸さんとの思い出エピソード」などありましたら教えて下さい。
我妻
美桜は多分ステージ上だと特に最近はガヤ係みたいになってるじゃないですか。おもしろ系?たまに非道な感じとかが、どうしてもステージ上だとそういう役回りにいるのもあって…。美桜がお休み中にハコムスのことを知った方とか、美桜のことをあまり詳しくない方はそういう風に受け取っちゃう人もいるかも知れないですけど……美桜は、優しい人です。自分が守りたいもの、ハコムスの中で守りたいものとか大切にしたいものを、ちゃんと持ってるんですね。だからすごく張り合いがあるというか……ステージ上ではふざけてる部分がいっぱいあるけど、でも、レッスンとか、ファンの人に見えないところでは、ハコムスのことにしっかり向き合ってくれるし。すごくメリハリがあるというか…すごいなぁ~と思います私は。
裏では…裏ではっていう言い方は悪いけど…
鉄戸
どっちも頑張れよってね(笑)
我妻
いや、そんなことない(笑)、それが、美桜の良さだし、逆に器用だなって思います。私は不器用だからそういう事ができない人で…いいなぁって思ってます。
鉄戸
ありがとう~。
寺島
私は美桜ちゃんと(帰りの)方面が同じで、一回一緒に帰ったことがあるんですよ。…で、私は本当に勉強が苦手なので、美桜ちゃんに勉強のことについて聞いたら、すごい細かく教えてくれて、「ここの高校は、こういう所が良いよ」っていうところまで、ちゃんと教えてくれて。「今度、勉強のテキスト、私はもう使わないからあげるね」って言ってくれたり、ハコムス全体のこともそうだし、メンバーひとりひとりのこともちゃんと考えてくれる、優しい人です。
阿部
美桜は本当に人のことをよく見てる子だなってすごく思ってて。ステージ上ではメンバーをいじったりとか、ファンのみなさんをいじったりとかしてるんですけど、それもすごく、細かい配慮がとてもされてて…本当に嫌なことっていうのは絶対に言わないし、人のことをよく観察してるからこそ、人に対していじることができてるっていうか。ホントに細かいところに目を向けてる人だなって思ってて。私が何も言わなくて困ってても、「あっ…困ってるよね?」って言って助けてくれることも、今までも本当にたくさんあったし。同級生なんですけど、同級生だけど先輩で。性格面ではいつもふざけてるから、いたずらっ子でちょっと幼いって思われてるかも知れないですけど、ホントはすごく大人っぽくて。すごく、なんか…「社会に適してる」っていうか…
我妻
やったじゃん、美桜!めっちゃ褒められてるよ(笑)
阿部
細かい事に気配りのできるいい女性なんですよ!
鉄戸
OLなろっかな…(笑)
阿部
OLにはなれないけど…秘書とかにはなれそう!細かいことによく気づいてくれるから。そういう、言わなくても気づいてくれるところとかはすごく尊敬できるところだなって思います。
…でも、うっかりさんなんですよ、美桜。ケータイをなくしたりね・・・お財布失くしたこともあったよね。
我妻
ケータイはほんとによく無くすんです、美桜は!
鉄戸
鍵もなくしたりね…
阿部
そんな、意外とうっかりさんなところもあるんですけどね。かわいい。
井上
最近なんですけど、レッスンとかで甘えてきてくれるんですよ。「ハラペコテントウムシ(注:昨年冬の平日定期公演「ハコムスペナントレース」で鉄戸・井上が結成したチーム)」をやってから距離が近くなって。
鉄戸
そうだね~…
井上
今はレッスンとかで結構、こう…もたれかかってきてくれたりとか…
鉄戸
枕にしてるだけなんですケド…(苦笑)
井上
ちょっと、あの、「ん~?」みたいな、普通の顔してるけど、すごい、嬉しいなって(笑)。

美桜ちゃんって、さっき和花とか、かれんちゃんが言ってたように、ホントに周りをよく見てるなぁって思ってて。私、高校受験の関係で活動を一時休止したじゃないですか。でも、活動休止する前も、高校についてとか、「大丈夫?」みたいな話とかも、私がしない分、すごくいろいろ聞き出してくれて。私も「あ、話しやすいな…」って思って、すごく相談にも乗ってくれたし…。
活動に復帰した後が一番不安だったんですよ。今もたまに距離を感じたり、不安だなって思うことはあるんですけど、その不安を自然にうまく消し去ってくれると言うか。こっちが後から気づくぐらい自然な感じで、「(星は)いつもレッスンに居たよ」みたいな感じで私に接してくれて。振りとかも「新しい曲覚えるの大変だよね」って、レッスンのときにちょっとした声をかけてくれるのが、すごく私は安心して。戻ってきて不安だったことが、思っていた以上に不安抱えなくて良いんだな、みたいな、ちょっと気持ちが軽くなったのは美桜ちゃんのおかげかなって。
鉄戸
…すっごい良いやつじゃん(笑)
我妻
最後の最後に良かったね、こういうの(取材)があって。
鉄戸
もうね、みんなに読んで欲しい、マジで。
吉田
私は結構はじめの頃から、初期メンの、美桜ちゃんとかから特にいじられることが多くて。最初は「いじめられてるのかな?」って…笑
1期2人
わー!ごめーん!ごめんね!笑
吉田
でも、仲良くなっていくうちに、それが優しさなんだな、って思うようになって。
1期
厳しいんだよね、ウチラはね…辛辣なんだよね…
(─けっこうガツーンって行ってましたよね?)
最初はね…もまれるんだよね…ごめん!ホントにごめんなさい!
吉田
そんないじり上手な部分とか、一緒にいるうちに、これは優しさなんだなって気付けるいじり、みたいな。今はそんなふうに(いじめられてるとは)思ってないし、むしろいじられなくなったときが、悲しいなってなるんだろうなって。レッスンの時も、たまにそうやっていじってくれるんですよ。それが(卒業すると)なくなるのが寂しくなっちゃうんだろうなって思うから…そうやって何気ないところで温かさみたいなのを感じさせてくれる、そういう事ができるのは美桜ちゃんだけかなって思うので、そういうのを大切に、自分の中でも残していきたいなって思います。
──あとは…なーちゃんはなんかある?
塩野
………はいっ!…んーと…
阿部
もしかしたらまた目を開けて寝てたかも知れませんね…
塩野
???????
鈴木
あの、もしアレでしたら次の質問に…

──はい(笑)。

※ということで、鉄戸さんの様々な所業を暴けたらと思って投げてみた質問でしたが、やはりと言うかさすがと言うか、「鉄戸美桜を称える会」になってしまい、それはそれですごくいいお話をたくさん聞かせてもらいました。
敢えて突っ込ませていただくならば、「鉄戸さんが優しくていい人なのは、ファンもみんな知ってますよ」ってことぐらいでしょうか。
また、スリープモードの塩野さんは再起動に時間がかかってしまい、この質問はタイムアップになってしまいましたが、おそらく卒業公演のお手紙などで鉄戸さんへの溢れる思いをたくさん語ってくれると思いますので、それを心して聞くことにしましょうかね。
では次の質問。
Q2.
この春は新メンバーを追加せず、今のメンバーのスキルアップをした上で夏のワンマンに臨む、という決断をされましたが、それぞれ「今の自分にはここが足りない」「夏までにここをもっと良くしたい」「ここを頑張っていくので、みんなにはここを見ててほしい」というポイントがあれば教えて下さい。
寺島
私は、表情とかが一個になりがちなので……もっと、「曲ごと」じゃなくて「ワンフレーズごと」にコロコロコロコロ(表情が)変わる、それも、ななみたいにすごくコロコロ変わって、見てて「この子楽しい!面白い子だなぁ」って思ってもらえるように、表情に力を入れていきたいなって思ってます。ワンマンまでも、ワンマンの先も。
※いつの間にかグループのコンセプトから「女優志望の女の子」という文言が消えていたハコムスだが、曲の世界観を届ける上で、表現力は女優云々関係なく、やはり必要不可欠な要素。そこをきっちり受け継いでくれそうなこの答えは嬉しい限り。きっとこの春から夏にかけて、今まで見たことがないような豊かな表情を寺島さんが見せてくれることだろう。
吉田
私は…歌をもっともっと伸ばしたいです。MCとか頑張らなきゃいけない課題はたくさんあるんですけど、私はハコムスやる前から歌が大好きだったし、元々習ってたのもあって、ずっと小さい頃から歌ってたので…。実はダンスの方が昔からやってたんですけど、やっぱり歌う方が私にとってはしっくり来るし。
里奈ちゃんが受験に入っている間は「里奈ちゃんを抜かせるように頑張る!」とか言ってたんですけど、里奈ちゃんが久しぶりに帰ってきて今思うことは、里奈ちゃんの歌と万葉の歌では、やる「役目」が違うのかなって…里奈ちゃんの歌を「抜かす」っていうのではないのかなって。もちろん里奈ちゃんは上手いし、追いつけてる自信はまだないんですけど、違う面で歌を引っ張っていくっていう方法の方が、私にとってはとてもわかりやすくて。そっちの方が自分で伸びしろとかも感じられるし、課題も見つけやすいから、そういうふうにしていきたいとも思うし…。
あと、私は昔から歌が単調になりやすくて。声が大きいっていうのもあるかも知れないんですけど、「奥行きがない」とか「歌の中での表現がない」って。「表情」とかじゃなくて「歌声の表現」が、レパートリーが少ない、って小さい頃から言われてて。ピアノとかと一緒に歌うと感情を持っていけるのに、カラオケだとうまくいかないから…もっと自分の感情を歌声に乗せて届けられるように、もっと頑張りたいです。
※バスツアーなどでも先輩から「努力の人」と評されていた吉田さん。その向上心は尽きることがないようだ。確かに星さんと吉田さんとでは、歌声の質も方向性も異なっている、いわば「別の楽器」のような状態なわけで。きっとこの2つの楽器が素敵なハーモニーを奏でられるようになると、ますます凄いことになるんだろうなと。夏のワンマンに今から期待したいところ。
塩野
曲に合わせて、その曲の曲調とか、「その曲はどういう曲なのか?」とか、歌詞の意味とかを、しっかりと頭の中に入れて、歌詞もしっかり覚えて、その曲にあった声とか、てっちゃん(が得意とする)みたいな感じの切ない曲とか、万葉(が得意とする)みたいに可愛らしい曲とかも、総合的に出来る声を持ちたくて。でもまだ、そんなに声で表現できないから、曲に合った声の表現力というレベルを、これからもっと上げていきたいです。色んな曲に合った声がまだ出せないから、自分の声のバリエーションをもっと増やしていきたいです。
※ど天然キャラで知られる塩野さん。歌に関しては勘のいい子だなぁと常々思っていたのだが、まさかここまで「歌」と「声」についてしっかりとした考えを持っていたなんて。夏までなんてあっと言う間のような気もするが、この世代の子にとっては結構な時間。「七色の虹のようなキラキラ笑顔」が売りの彼女だが、「七色の声の持ち主」になってくれる日も近いのかも知れない。

さっき、かれんちゃんが良いこと言ってくれたし(別取材で「手を抜いているところを見たことがない」と高評価)、万葉ちゃんは私のことを「歌がうまい」とか言ってくれるけど、私は結構昔から不器用で、何をやってもあまりうまくいったことがなくて、悩んでて。でもハコムスに入って、活動休止に入る前とかも、1つのことに時間をかけて、1つ1つのことを濃密にやっていくうちに、少しずつ自分のできることが増えつつあるかな…って思ってて、でも全然満足いってなくて。不器用だからこそ、みんなよりもっとやらないと同じレベルに立てないのがいつも怖くなっちゃって。そういう怖い感じとかもライブでたまに出ちゃうことがあって、そういうところを無くせるように、もっとライブに入り込むと言うか、怖さに負けないぐらい自信を持ってステージに立つ日が来れたらなって思ってて。自信を持っていきたいです。
※技術面の話が続いたところで、星さんからはメンタルに関する話が飛び出した。常に不安と戦っているような彼女にとって、ひょっとすると数ヶ月の活動休止という決断はかなり大きなものだったのかも知れない。思えば、過去の公演でも何度か「殻を破ります!」と、意表をついた冒険をしていたこともあったが、それもすべて「自分を変えたい」という思いから生まれたことだったのかも。一つの大きな成功体験がきっとメンタルを大きく変えてくれるはず。先日のプレミアムツアーで宮前真樹さんが伝えてくれた「ここに来てくれている(ファンの)人たちはみんなあなた達の味方だから」という言葉を、是非覚えていて欲しいと思う。
井上
私は、入った当時からなんですけど、歌も、踊りも、トークとかも、自分の中では出来てるって思ってなくて、今でも自分が目立ててる場所ってあまり無いって思ってるし…。だから、歌割りがなくても、ダンスとかじゃなくて、見てて「この子すごいなぁ!」って思われるような人になりたいなって思ってて。里奈ちゃんとか美桜ちゃんとかみたいに歌割りを増やすっていうことも、目立つ一つの方法なのかも知れないけど、私には歌はちょっと…
我妻
諦めるな~…(苦笑)
井上
諦めないけど!  諦めないけど…歌っていうよりはダンスとか、そういうところの「見せ方」とかで勝負したいなって思ったので、そういうところを極めていきたいなって思いました。
※普段は強気なキャラクターが全面に出ている井上さんだが、自分の中では何かしらの危機感を感じているのかも。存在感を強く打ち出していきたいということのようだが、ハロプロを始めとするアイドルが大好きな井上さんならば、自然と出来るようになるのではないだろうか。多くのステージやメディアで活躍するアイドルやタレントさんたちは、いわば「見せ方のプロ」。それを動画で毎日のように見ているという井上さんならば、やがて「見せ方」、あるいは「魅せ方」を身につけてくれそうな気がしている。あくまでも個人の予想ではあるが。
阿部
個人的な目標と言うよりは、個々のレベルアップをするのはもちろんなんですけど、美桜がいなくなってしまうので、今まで1期生2人が頑張って……「縁の下の力持ち」っていうのはホントに2人のようなことだと思ってて。成長過程の子をまとめるのは、ホントに大変だったと思うし、私自身、そのことに少し前までは全然気づいていなくて。「美桜が卒業する」ってなってから、美桜とかぽにょのやっていることを見て、 「いつもこういうふうに助けられていたんだな」って思うことが本当に多かったので。美桜が卒業してしまうので、私はどちらかと言うと「個人のレベルアップ」というよりは「チーム力を高める」という意味で、ハコムスっていうチームを支えていくメンバーになりたいなって思います。
(──まとめていくようなポジションに?) そうですね…でも、そんな感じじゃないんですけどね、申し訳ないんですけど。でも、頑張っていこうかなって思います。
※メンバー最年長、そして初の「大学生メンバー」となる阿部さん。キャンパスライフとの両立はハコムスにとっては未知の領域ではあるが、その上で「チームを支えたい」という頼もしい意思表示。これまではずっと「私はネガティブなので…」と口にしていたが、「チームを支える」「メンバーを助ける」というポジションに立とうとする意思はまさに「ポジティブ」そのもの。その意識改革が出来ている時点でこの目標はほぼほぼ達成出来ているような気がする。リーダー我妻さんと共に、どのようにチームハコムスを引っ張っていってくれるか、大いに期待したい。
我妻
ハコムスって、歌の歌い方、すごく自由に歌わせてもらっているんですよ。声の出し方とかは教えてもらってるけど、声色とかを「こういう風に統一して」みたいなことは言われてなくて。カバーをやっているので、自分がその曲を聞いて、自分の中を一回通して、自分の中で歌を理解した上での表現をやっていて。なので、声を聴くだけで「いま誰が歌ってる」っていうのがわかりやすいのが「ハコイリムスメの歌」だと思うんですよ。だからこそ、お互いの歌とかを尊重し合えるようなグループでありたいなって。それって、歌の話でいうと「歌声」を尊重するってことになると思うんですけど、それってハコイリムスメのどんな活動にも通じることなんじゃないかなって。例えばMCとかももちろんそうだし、ダンスとかも。全部お互いのことを理解して。全然キャラクターとかも違うからそれを尊重して、マンパワーをこれからも大切にしていきたいなって。
たぶんワンマンとか一回経験すると、「『いいものを見せる』って何だろう?」って、考えちゃうと思うんですよ。そういう事を考えた時に、自分を周りに合わせるために自分の力を抑えるとかじゃなくて………すごくこれって難しくなるんじゃないかなって言いながら思ってるんですけど………それぞれのいいところを最大限引き伸ばしながら、「『ハコイリムスメ』としてこれが完成形です」っていうのをしっかり見せたいなって。その完成形が最高なものでありたいなって。そういうのが、今のハコイリムスメに大切なチーム力なんじゃないかなと思ってるので。メンバーのいいところも、悪いところもしっかり、それぞれがいい意味でシビアに見つめられるようなグループにしていけたらいいなと思います。
※リーダー我妻さんからはハコイリムスメというグループの理想像について語ってもらった。「『いいものを見せる』って何だろう?」というのはクリエイティブな活動に従事する人ならば常に自問自答すべき言葉だと思うし、それに対して彼女が考える答えとしては、個性を抑えたり、周りに合わせたりせず、それぞれが自分をMAXまで表現した上で、その力を結集させてさらに大きな力にしたい、ということだろう。一見すると、尖った個の集合体でバラバラになってしまうようにも思えるが、それを繋ぎ留めてまとめる役割は、各々がそれぞれ咀嚼した上で披露する「カバー曲」が果たしてくれる。
ハコムスにとっての「カバー曲」の位置づけは、他のグループなどのカバーのそれとは違う気がしていたが、全員が一度自分の中に曲を取り込んで、自分の表現としてカバーに臨んでいたからこそ、より気持ちのこもったカバーになっていたんだろう。おそらくこれが、結成当時から一切ぶれない、ハコムスの核となる部分。それは今年「カバーアルバム」という手に取れる形で、改めて示されたことになる。
昨年秋の「カラフルボックス」でメンバーがそれぞれプロデューサーとなって公演を仕切った際、多少コーナーがすべっても、どんなにぶっ飛んだ設定であっても、最終的には我妻さんが担当プロデューサーを労い、次の担当にエールを送っていた。それはプロデュースしたメンバーが「ハコムスの公演」をそれぞれの中に取り込んだ上で表現したものであったからだろう。ひょっとしたらこの時、既に我妻さんの中には、インタビューで答えてくれたような壮大な理想像が描かれていたのかも知れない。確かに壮大ではあるが、実現する可能性は決して低くないし、ぜひともハコムスの「完成形」をファンに見せてもらいたい。
時間も無くなってきたので、巻き目に聞いてみた3問目。

Q3.
先日の「インターネットサイン会」や「鉄戸商店写真即売会」などを見ていて、メンバーの皆さんはとてもファンの一人一人をよく見ているなぁと実感したのですが、もし逆に、自分のファン(もしくはハコムス全体のファン)に1つ質問できるとしたら、どんな事を聞いてみたいですか?
鉄戸職業。(きっぱり)
一同「あー、知りたい!知りた~い!!」
(──えっ、職業?)

我妻「知りたい!気になる~!」
鉄戸「もう夜も眠れない…」(笑)
(──職業なんか知りたいの?どうして?)

鉄戸「普段ライブに来てくれてる方たちが、どういうお仕事してるのかはすごく気になる。」
我妻「スーツとか着てないよね。」
鉄戸「平日の夜、そこそこ早い時間にここに来れるっていうことは、どういうお仕事なのかな、とか。わざわざこれのために早退してくれてる人もいるのかなとか考えると、どういうお仕事してるかって気になるし。ちょっとプライベートな感じになっちゃいますけど、アイドル以外に好きなこととか、結構気になったりしますね。」
我妻「結構多趣味な方とかいるからね~。」
星「私は、ハコムスのファンの方にも特に多いと思うんですけど、皆さん結構写真を撮ることが上手いなって思ってて。そういうのって、プロでお仕事としてやっている人もいると思うんですけど、そうでない方はどうやって上手くなったのかなっていうのが、すごく気になって…」
鉄戸「私達のことを撮りながら上手くなってるんだよ、だんだん。」
星「そういうことなんですかね?(笑)他になにか練習とか、被写体があるのかなっていうのが気になって。」
阿部「被写体を見つけに行くんじゃない?……(他の)アイドルイベントとか…」
塩野「私は、これからの(ハコムスの)カバー曲とか、オリジナル曲とかで……例えばオリジナル曲を作れるってなった時に、ファンの皆さんはどういう曲調とか、どういう雰囲気の曲だったら好きだなぁとか、こういうふうな曲をやって欲しいとか、こういう歌い方にしてほしいとかがわかれば、みんな満足できると思うから、そういうのが知れたら、もっと分かち合えるかなって……。」


鈴木P「ハコムスの……何の要素が一番好きなのか…比重がどこにあるのか。
我妻「あー確かに。知りたい!最近ハコムスって対バンとかに出ないし、私達のイベントで予定がいっぱいだから、わからないんだよね、今どきの流れが。変な話だけど(笑)。敢えて周りと比べた話をしてもらいたいなって。あと、どうしてハコムスを選んだのか。だって、絶対知らない曲ばっかりでしょ、最初のうちなんて…って思うもん。私達だって知らない曲も多いから…そういうの気になるなぁ。」
(──多分、この記事が出たら、握手会とかで答えてくれる人もいっぱいいますよ。)

我妻「はい、お待ちしてます!」
鉄戸「握手会で職業教えてくださ~い。会社名まで!(笑)」
※……まぁ職業はちょっぴり極端ではあるが、総じてファンを気遣ってくれているし、ファンをこれからも更に楽しませたいという思いが見え隠れする質問となった。
というわけなので、自分の素性を明かしても差し支えのない方も、ちょっとぐらいある方も、ぜひ鉄戸さんがハコムスにいるうちに教えてあげてほしい(笑)
塩野さんの言う「こういう曲を歌って欲しい」というファンの願望は、実は「ジュークボックス賞」という形で既に叶えられているとも言える。私見だが、この賞はファンの「この子が歌うこの曲が聞きたい」という欲求を満たすだけでなく、「この子はこんな歌い方も出来るんだ!」という発見をさせてくれる賞でもある。
カバー曲と同様、その曲を理解した上でメンバーが自分なりに歌ったものが形になって残るわけで、前回のものも含めて数人分聞かせてもらったが、歌おうとする意識のクオリティはかなり高く、当選者限定でしか聞けないのはもったいない気もする。当選者に1枚だけのCDを渡すというプレゼントは活かしつつ、例えばジュークボックス賞で選ばれた曲だけを披露するライブ「ジュークボックス歌謡祭(仮)」なんて企画があっても良さそうな気がする。実現したら普通のライブと同じだけ払ってでも聞きに行きたいぐらいなんだが……どうですかね鈴木さん?

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メンバーのみなさんが熱く、真剣にたくさん語ってくれたこともあって、当初の予定を大幅にオーバーして、盛りだくさんの密着取材がこれにて終了。最後はメンバー全員で記念写真、そして出口までのお見送り。「今日は朝から夜遅くまで、ありがとうございました!」「記事、楽しみにしてます!」「これからもよろしくお願いします!」などなど、もったいないお言葉を頂戴しながら取材班は腕章を返却し、それぞれ単なるヲタクへと戻るのであった…。


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【取材後記】
ハコムスのリハーサル見学は過去にさせてもらったことがあったが、記者としての取材は当然初めての経験。それはすなわち、記事を書くのも初めての経験。ワードの文字カウンターは21000字を超えてしまっている。冗長で読みづらい箇所も多々あったかと思いますがご容赦いただければ幸いかと。
おそらく順調に事が進んでいれば、この記事が皆さんのもとに配信されるのは水曜の午前中。鉄戸さんのハコムスラストデーということになる。これまで彼女がハコムスに、そしてファンに残してくれたものの大きさを考えると、彼女について取材したものは、意地でも彼女がハコムスにいるうちに形にしておきたかった。奇しくも、ある種リベンジとも言える「夏空のDreamer」がセトリに組み込まれ、新カバー曲にも「さくらサンキュー」が選ばれ、さらにこの日、東京で桜の開花宣言まで行われるというおまけ付きで、ここまで揃った以上、書かない訳にはいかないというもので。今回の「ハコムス宝くじ」が、そして「宝くじライブ」が、ハコから巣立っていく鉄戸さんの思い出に残るものになっていれば何よりだし、この記事がその一助になっていればなおありがたい。
そして他のメンバーからも、夏のワンマンに向けての意気込みを聞かせてもらった。普段、イベントやSNSなどで見える彼女たちの姿とは一味違う、「ハコイリムスメ」としてのプライドも垣間見える取材となった。誠実に取材に応じてくれたメンバー、及びスタッフの皆さんに感謝しつつ、このレポートを締めさせてもらうことにする。最後までご覧頂き、ありがとうございました。

……さて、次回の取材はどうしようかなぁ…?